資金繰りを改善!資金ショートを回避する方法とは?
資金ショートを回避するためには、根本的には事前に資金ショートしないように対応することです。
ここでは、資金ショートを事前に回避するために根本的な資金繰りの改善方法について解説しています。
この資金ショート回避の内容を理解することで、利益があるのに倒産という黒字倒産を避けることにつながります。
なお、資金ショートしそうだと気付いた時に応急処置として行うのは緊急的な資金ショート対策です。
その具体的な方法は別の記事でまとめていますので参考にしてみてください。
資金ショート回避のポイントは資金繰りの改善です。
資金繰りを上手に改善させることで、収益をアップさせ企業に現存する預貯金が短期間で2倍程度になる場合もあります。
当記事では、このような資金繰りを改善していく方法の基礎についてお伝えします。
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目次
資金繰り改善で資金ショートを回避
資金繰りとは、企業に存在している資金の管理を目的とし、入金と出金、それぞれを具体化したものです。
これにより企業の入出金管理が可能となります。
難しそうに思えますが、極論としては足し算と引き算、そして電卓が使えれば資金繰りは可能と言えます。
この資金繰りを適切に行うことが資金ショート回避につながります。
資金ショート回避のための資金繰り計算
【入金】
入金については、売上はもちろんのこと、手形や株式などの収益があります。
また、資金難に陥っている場合には銀行などから融資を受けたり、手元に売却可能な資産がある場合はその資産を取り崩して現金を調達することも考えられます。
【出金】
出金については、仕入れや人件費、それに光熱費や施設の維持に要する費用などに加えて、資金調達に際して借入をしているのであれば返済の必要性も生じてきます。
税金の支払もある上、企業内に設置している機材や施設などに対して修繕や改装をする場合もあるでしょう。
さらに想定しておかなければいけない点として、原材料費が高騰する場合は出金が増加してしまいます。
これらは3種類の区切りに大別することが可能であり、
- 事業に係る収支
- 事業に付随して行っている投資に係る収支
- 企業の財務管理に係る収支
などが該当します。
資金ショートを避けるための入出金のタイミング
資金繰りにおいて重要なポイントは、どの時点で入出金が発生するかという点です。
もし1000円の商品が1万個売れて売上が1000万円あると仮定する時、実際の入金は翌月以降にずれ込む場合がほとんどです。
一方、仕入れ単価が500円と仮定すれば、1万個分の500万円は仕入先に支払う必要性があり、そのタイミングはほとんどの場合、売上代金が入金される前です。
その出金と入金にタイムラグが生じるため、先に支払う資金の調達を早めに行わなければ資金ショートに陥る可能性があるということです。
そのような場合の対策としては、
- 仕入れ代金の支払を遅らせる
- または売上代金の入金を早くしてもらう
- 融資を受ける
- その他の現金収入を検討する
等の方法が挙げられます。
資金ショートを回避していくためには、どの時点で資金が不足するのか明確にして、早め早めに資金繰りを行う必要があります。
資金ショートが生じると経営が不可能となりますので、是が非でも資金不足にならないよう資金調達する必要があります。
その資金繰りの方法として融資を検討する場合も考えられますが、融資を受けてもその場限りの対応で、次回以降も同様の出金がある場合には、別の資金繰り方法を行わないかぎり、資金ショートを回避できない可能性があります。
仮に資金ショートの直前に融資を受けたとして、以降の収益が増加しない場合、融資の返済のためにまた別に資金繰りが必要になります。
しかも利息分に相当する部分のみを支払う事態に陥れば、資金ショートを免れても長期的な経営は難しく、いずれ資金ショートを回避できない可能性があります。
経営が順風満帆でも資金ショートの可能性
想定している範囲では現金はまだあるはずでも、現実に手元のキャッシュが0円という資金ショートの状態に陥る場合、それは黒字倒産の前兆です。
黒字倒産とは、利益が出ているにも関わらず倒産することを指しています。
たとえ翌月に1000万円が社内に入金される予定があったとしても、現存する現金が支払い期日に間に合わない場合、手形を不渡りしてしまったり銀行との取引が停止せざるを得ない状況となり得ます。
黒字倒産に至る要因は、入金が早く出金が遅いという時間的なズレが生じ、入金に必要な現金を調達できないケースです。
企業の財政状況を表している貸借対照表のみを見ていれば、このような時間的なズレが発見できない場合もあります。
資金ショートを回避すべく資金繰り対策として行うべきは、貸借対照表のみならず、損益計算書やキャッシュフロー計算書、資金繰り表の適切な管理です。
貸借対照表はバランスシートとも呼ばれ、これを見ることにより企業の財産や融資額が判明します。
ある期間において、資産状況や負債がどの程度生じているか、さらには純資産についても把握できます。資産とは、負債と純資産とを総合したものです。
そして、損益計算書を見ることにより、企業の収益が判明します。
売上総利益や営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益などの観点から収益を考慮できます。
他方、キャッシュフロー計算書とは、一定期間における財政状況を把握するのに適したもので、営業キャッシュフローや投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローなどの観点に照らして、現金がどの程度増減したかが明らかとなります。
いずれも重要なものですが、キャッシュフロー計算書がなければ、資金ショート回避を事前に把握するために現時点でどの程度の現金が不足しているかが判明しないのです。
貸借対照表については財産がどの程度残存するか、損益計算書については正確な利益を算出するのに適しているのですが、資金ショートを回避するために資金繰りをしていくという観点からはキャッシュフロー計算書はなくてはならないものです。
資金ショート回避のための資金繰り表と在庫管理
収益が減少するなど資金ショートに至る要因は様々ありますが、まず計画が適切でない場合が少なくなく、意外にも事業計画書がずさんな場合も多いと言われています。
銀行融資のために漫然作成するという考えでは資金ショートを回避することができない可能性がありますので注意が必要です。
ただ完全な事業計画書を作成することは困難であり、なるべくパーフェクトに近づけるよう以下の方法を実践していきましょう。
- どのような事業であるかそのポイントを口頭で10秒程度で簡略に説明可能であること
- 計画から実践に至るまで論理的であること
- 事実や実績に照らして作成されていること
これらに該当していれば、理想的な事業計画書が作成可能といえるでしょう。
資金ショート回避のための資金繰り表の作成
資金ショートの回避、収益の増大を図るためには、資金繰り表の作成が不可欠といえます。
キャッシュフロー計算書と資金繰り表とは類似しているのですが、別物です。
資金繰り表は、これからの状況を予測するものであるのに対して、キャッシュフロー計算書は過去の状況がどのようなものであったかを把握しておくためのものです。
そして、資金繰り表で設定できる期間は任意であるのに対して、キャッシュフロー計算書は年度ごと、四半期ごと、半期ごとなどといったように単位が定まっています。
さらにキャッシュフロー計算書の作成は上場企業の場合であれば、強制的に行う必要があります。
多くの企業は月次のものを作成しているケースが多いようですが、通常であればそれで事足りるとしても、資金ショートしそうな有事の際には日毎の資金繰り表を作成しておくべきです。
会社の運営が厳しい場合は特に日毎の資金繰り表を作成することは不可欠といえます。
事業計画書及び資金繰り表を作成しておくことで、将来における資金がどのようになっているかを詳細に予測することが可能となり、黒字倒産の要因を排除し収益の拡大を図ることができるのです。
資金ショートを回避する資金繰り改善の具体策
資金ショート回避策1・在庫を見直す
売上が十分ある場合でも、現金が不足しているという資金ショートの可能性をうかがわせる状態の場合、在庫が必要以上に余っているかもしれません。
在庫が過剰にあれば、収益が減少するのみならず資金ショートによる黒字倒産の要因ともなるのです。
流行に沿って仕入れを増加させる場合、流行が過ぎれば在庫が大量に余ってしまう可能性が高まります。
この点、衣料品を扱う業種などで在庫一掃セールを実施している場合もありますが、この理由は主として在庫整理のために行われるものです。
在庫が余っていれば、新商品を仕入れることも不可能といえるため企業にとってはマイナスといえます。
さらに、棚卸しを実践していくことも過剰在庫のためには効果的です。
このほか、在庫を担保にして融資をすることも過剰在庫の解消のために適しているといえるでしょう。
資金ショート回避策2・立地面
経営者として、立地にも着目したいところです。一等地に事務所や店舗を構えるのも悪くありませんが、資金繰りの観点からは好ましいと言えない場合もあります。
人の往来が頻繁である好立地に所在していれば、多数の来客などに期待できるなどマーケティングの観点から優勢といえますが、賃料が高額になる点や、人件費も高くつく傾向にあります。
売上を見込んで好立地に事務所などを設置した場合でも、その成果の大部分を賃料や人件費などで消費することとなれば、資金ショートの可能性があるといえます。
そして、売上は必ずしも一定ではなく、減少するケースも考えられます。
特に都心近辺であれば、トレンドに左右されやすい傾向があるために、高額な売上が一過性のものに留まる場合もあり得ます。
このような流動的な売上に対して、賃料や人件費等は一定で固定化しやすい費用です。
そのため、わざわざ賃料が高額な好立地に事務所などを設置しなくても、やや郊外に該当する箇所で賃料が安価な地に事務所などを設けたほうが資金繰りの点からすれば得策なケースがあります。
資金ショート回避策3・人件費を再考する
資金ショートを回避するための方法の1つとして、人件費削減という手段もあります。
しかし、不必要な人件費削減まで実践してしまえば、反発を招くことは明らかです。
無論のこと、有能な従業員を退社に追い込むような手段は取るべきではありません。
末端の従業員よりも、まずは役員報酬を再考する方法を優先するべきです。
しかし、役員報酬は資金ショートの回避としても有用な手段となり得ますから、やみくもに削減するのも考えものです。
そうしたことから、フレックスタイムを検討するのも悪くはないでしょう。
どのような業種であるかによっても変わってくるのですが、不必要な時間帯に多数の従業員を出社させるよりは、必要不可欠となる時間帯に出社させるなどのほか、出社や退勤を各々に一任するなどといった手段も考えられます。
そして、交通費などの諸手当については再考の余地があるといえるでしょう。
変更するに際しては、都度社内規定から改善していくことを要しますから、この点、顧問であるか委託であるとを問わず、社会保険労務士と検討しても良いでしょう。
従業員の総支給からすれば給与は減ることとなりますが、その根拠が不合理なものでなければ、反発を買うことはないといえるでしょう。
さらに、出張費につき、概算ではなく実費にすることもオススメです。
資金ショート回避策4・固定費の見直しを入念に
資金ショート回避の方法として、固定費を見直すことも有効です。変動費よりも固定費を特に入念に削減するようにしていきましょう。
これによって、さらに資金ショートの回避が容易になります。
売上が減少している場合であっても、固定費は基本的に変動しませんので、もし見直しをすることによって削減することが相当であれば、長期的にみればみるほど削減に成功したといえ、資金繰りの観点からは有用です。
資金ショート回避策5・貸し倒れ対策
売掛金や貸付金が回収不能に至ることを貸し倒れと称します。
現時点の会社が順風満帆でも、貸し倒れが生じることにより、損失を被ってしまいます。
これが起因して資金ショートの要因となることは明らかで、共倒れになってしまうリスクも可能性として考えられます。
こうした貸し倒れに係る資金ショートという事例では、突如返済してこないということは稀有であり、予兆として延滞が継続していき、結局は貸し倒れを生じさせるという場合が殆どを占めています。
そのため延滞が生じた際には、自社の資金ショートに直結する可能性がありますので、直ちに請求するなどの措置を執ることが不可欠です。
また、他社からの売掛金も生じていることでしょうから、このような場合には迅速性が問題となってくるのです。
債権回収が困難と判断すれば、そのほかの債権者よりもなるべく迅速に債務者と交渉していくようにしましょう。
予防策として、債務者となる取引相手を1社にせず、何社にも分散しておくことによってリスク回避でき、結果、資金ショートの回避につながることになります。
貸し倒れ損失があった場合、その金額を損金として計上しましょう。
回収サイトの前倒しは資金繰りの改善となり得るか
会社同士では売掛金や手形による取引が多いために、実際の現金が入金されるまで時間のズレが生じます。
このような時間のズレによって資金繰りが悪化したり資金ショートに至る企業が増えています。
売上は順調で年間を通じてみれば黒字でありながら、月次資金繰り表をみれば、資金ショートに至っている月のある企業も少なくありません。
このような資金ショートの可能性を改善していくために有用な方法としては、回収サイトを前倒しにすることが一例として挙げられます。
具体的な方法としては、直接取引先に働きかける、手形割引の活用、ファクタリングなどが挙げられますが、取引先との関係を悪化させたり、コストや手数料などを要するために、資金ショートに陥っているような状態であれば推奨できる方法といえます。
資金ショートを回避する資金繰りについてまとめ
資金ショートを回避するために、資金繰りの改善というのはとても大事です。
資金繰りをおざなりにした経営をしている、いわゆるどんぶり勘定と呼ばれる資金繰りの意識の場合、売上が順調でも資金ショートによって黒字倒産になりかねないリスクを背負っていることになります。
これに対してどのようにすべきかというと、経営者自ら、あるいは財務担当者が資金繰りについての知識を十分に得ることで資金ショートを事前に回避します。
また、企業の資金の流れがどのようなものなのかを把握しておくようにします。
企業に関係している人のみならず、外部の公認会計士や税理士などに管理を委託するのも1つの選択肢です。
特に節税対策として有用といえます。
資金ショートしそうな時の対策について参考記事はこちら