会社の運転資金の目安はいくら?計算式を分かりやすく解説!

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会社の運転資金がだいたいどれくらい必要か?

その目安を把握するための計算式があります。

計算式は 「売掛債権+棚卸資産-買掛債務×日商=必要となる運転資金準備額の目安額」 となります。

この計算を行う際は「回転期間」を取り入れたほうが感覚的に把握できますが、慣れるまで難しいかもしれません。

ここでは計算式に使われる項目と全体的な考え方などについて分かりやすく解説していきます。

会社の運転資金の目安を知る重要性

業態や事業規模に関わらず会社経営は「滞ることなく資金の流れを円滑に循環させること」に尽きると言えます。

しかし、1つの案件の売掛金が現金化するまでに、その案件で生じた仕入れなどの経費の支払い期日が訪れるなど、事業を運営し続ける限り資金繰りから解放される日が来ることはないと考えられます。

発生する支払いと売掛金現金化のタイムラグを埋めるのが運転資金ですが、運転資金が少なければ資金繰りに追われ、多ければ資金の運用効率が下がります。

万が一の会社倒産の危機も、この運転資金の不足によって起こります。

ですので、事業規模に応じた金額をプールして、資金不足にならないよう会社の運転資金の目安を知り、事前に資金調達することが重要です。

会社運営の必要不可欠な運転資金とは?

会社経営を安定させるのには運転資金の存在が欠かせませんが、実際に潤沢な運転資金を用意できる会社は多くなく、どれくらいを目安に運転資金を準備すれば良いのかが気になるところです。

ひと口に運転資金と言っても運転資金は次の4つに大別されます。

  • 買掛金や手形決済・人件費や家賃、光熱費など事業運営で発生する支出に備える「経常(通常)運転資金」
  • 急激な業績成長や事業拡大などで増加した売掛金や手形などの資金化までに発生する支払いを行う繋ぎ資金である「増加運転資金」
  • 売上規模の縮小で困難となった支払いを行うための「減少運転資金」
  • ボーナスやシーズン商品の仕入れなど定期的に発生する支払いを行うための「季節運転資金」

上記4つの運転資金の中でも会社経営の資金繰りとして一般的に運転資金として捉えられているのは「経常(通常)運転資金」と「増加運転資金」と言えます。

この2つの運転資金を準備するにあたって目安となる金額を導き出す計算方法が冒頭でお伝えした計算式です。

「売掛債権+棚卸資産-買掛負債=必要となる運転資金準備額の目安額」

運転資金の目安を計算するポイント

通常運転資金と呼ばれる「経常(通常)運転資金」と「増加運転資金」のポイントは売掛金や手形などの資金化までに発生する買掛金や手形決済に用いる資金だという点です。

いわゆる繋ぎ資金として目安になる運転資金額です。

事業規模や業態によって必要となる運転資金の目安は異なりますが、金融機関が融資の審査の際に行う運転資金の算出方法では売掛債権・買掛負債・棚卸資産の3要素で必要となる運転資金の目安額を算出します。

売掛金500万円、買掛金300万円、棚卸資産200万円の会社を例にすると、500万円+200万円-300万円=400万円となり、目安となる運転資金準備額は400万円であると考えられます。

しかし、この計算式では目安となる運転資金額が適当であるかを正確に掴むことができないと感じるかもしれません。

以下に紹介する売掛債権・買掛債務・棚卸資産の回転期間を踏まえた計算を行えば、現実的に必要となる運転資金額の目安が感覚的に掴みやすいと言われています。

運転資金の目安額を感覚的に掴みやすい「回転期間」を用いた計算とは?

売掛債権・買掛債務・棚卸資産の回転期間の算出には会社の1日あたりの売上である日商を計算条件に加える必要があります。

売掛金500万円、買掛金300万円、棚卸資産200万円の会社の日商を32万円と仮定し売掛債権・買掛債務・棚卸資産の回転期間を計算します。

  • 売掛債権の回転期間:500万円÷32万円=15.625日
  • 買掛債務の回転期間:300万円÷32万円=9.375日
  • 棚卸資産の回転期間:200万円÷32万円=6.25日

上記の計算で3つ要素の回転期間が算出されましたが、小数点第2位以下の端数は安全係数として切り上げると良いでしょう。

「売掛債権+棚卸資産-買掛債務×日商」で必要となる運転資金の目安額を導き出すことができます。

上記の会社の例では次の計算になります。

売掛債権回転期間(約15.7日)+棚卸資産回転期間(約6.3日)―買掛債務回転期間(約9.4日)=12.6日×日商32万円=403万2千円

2つの計算結果で例に挙げた会社に必要となる運転資金の目安額が約400万円であることが算出されましたが、回転期間を用いれば運転資金が12.5日分の売り上げに相当することも確認でき、事業効率を掴むこともできます。

回転期間で算出した運転資金でも十分ではない!目安とする運転資金額とは?

2つの計算法で必要となる運転資金の目安額を算出しましたが、この金額が会社経営を行う上で発生する支払いの全てを網羅したものではないことは既にお気付きではないでしょうか。

計算要素が売掛債権・買掛負債・棚卸資産・日商の4つであり、人件費や光熱費、通信費など会社経営を行う上で発生する経費が含まれないことから、既述した計算法で得られる目安額では運転資金の条件を満たせません。

計算法で導く運転資金は資産回転のタイムラグを埋める繋ぎ資金の目安となりますが、会社経営にはそれ以外の経費が発生するため、一般的に運転資金は月商の3ヶ月~6ヶ月分が目安だと言われています。

資産回転で発生するタイムラグの繋ぎ資金としての運転資金の算出法では、例に挙げた会社の場合は約600万円が運転資金の目安額となりました。

しかし運転資金の目安額が月商の3ヶ月~6ヶ月分と言うことになると、一体いくらの運転資金が目安になるのかを確認してみます。

上記の計算では日商を32万円としていることから、32万円×25日で月商は800万円となり運転資金の目安額が月商の3ヶ月分の場合は2,400万円が運転資金の目安額となります。

必要な運転資金の目安額を引き下げ資金繰りを改善する方法とは?

金融債権である売掛債権や棚卸資産である在庫は会社の保有資産として扱われます。

しかし売却先未定の在庫は会社の資産ではあるものの、運転資金として活用するためには資金化を行う必要がある流動性が低い資産ですし、売掛債権と共に運転資金の必要性を生み出す存在でもあります。

必要とされる運転資金の目安額が下がれば、会社の余剰資金が増加しキャッシュフローの健全化と資金繰りの改善が行われますので、必要となる運転資金の目安額を減らすことが会社の資本のオフライン化に繋がると言えます。

必要となる運転資金の目安額を減少させるためには、売掛債権額や棚卸資産の縮小を行うか、買掛負債を増加させる必要があります。

棚卸資産は在庫調整を行うことで実現しますが、売掛債権や買掛債権の調整は取引先の協力なしには行えないことから、現実的には売掛債権の縮小や買掛債権の増加は難しいと考えられます。

そこで注目されるのが、売掛債権を資金に置き換えることで効果的に必要となる運転資金の目安額を減少できるファクタリングを利用した資金調達です。

ファクタリングは売掛債権を譲渡(売却)して流動性の高い現金に置き換えられる仕組み・サービスです。

このファクタリングを利用すれば、保有する売掛債権の金額を効果的に縮小させ、必要な運転資金の目安額を引き下げることが可能となります。

同時に仕入先の協力を仰ぎ現金払いから買掛へのシフトを行い支払いサイトを引き延ばすことで、キャッシュフローの健全化を促し、必要な運転資金の目安額を引き下げることで資金繰りを改善することが可能となります。

最後に

運転資金が不足すると倒産につながる危険性があります。

たとえ業績良好な会社でも黒字倒産に至るケースが少なくありません。

会社経営を順調に継続するためには必要な運転資金の目安額をしっかりと掴んでおく必要があります。

また、運転資金の調達の1つとして、ファクタリングという新しいサービスも選択肢に加えると良いでしょう。

ファクタリングは会社が抱える売掛債権を効果的に資金に置き換えられ、必要な運転資金の目安額の引き下げを実現すると共に運転資金として活用できます。