資金ショート対策5選!黒字倒産が怖い資金ショートを回避する方法とは
企業の運営で最も気をつけるべきは資金繰り管理、資金ショート対策と言えるでしょう。
なぜなら企業が倒産する理由が資金ショートだからです。キャッシュフローの悪化ということです。
売上が減少することによって赤字に至ったとしても、借金が膨大になろうとも、資金ショートさえうまく対策できれば倒産に至ることはありません。
しかし、資金ショートの対策が講じられずに資金が底をついた場合、経営を行うことが不可能になる場合も十分考えられます。
資金ショートの怖いところは、仮に売上が好調で利益が出ている状況でも倒産に瀕する黒字倒産の可能性があることです。
資金ショートに陥ってしまえば、単なる一般的な対策のみでは既に手遅れともなり得ることから、あらかじめ入念な対策を講じておく必要性があります。
当記事では、資金ショートによる黒字倒産を回避していくために、資金ショートの対策方法をご紹介していきます。
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目次
資金ショートとは?
資金ショートとは、会計上の収支とは別に現金の入出金を管理する中で、支払うべきお金が用意できない状態、資金がゼロ以下、マイナスになる状態のことを指します。
資金ショートの要因とは
資金ショートに至った段階ではじめて対策するようでは、ますます事態を悪化させていきかねません。
資金ショートが既に生じてしまった段階では、冷静な判断がしづらいことも大きな理由です。
ですので資金ショート対策としては、事前にどのような要因で資金ショートに至る可能性があるか予測し、早い段階で対策を入念に行うことが重要です。
資金ショートに至る要因には、
- 売上債権の入金が遅い
- 給与の支給時期が早い
- 仕入れに係る支払が現金決済で出金が迅速
- 売上が減少している
- 支出が増加している
などが考えられます。
このような要因は別個に生じるというより、何らかの関連性があるといえます。
これらについて適切に対策を講じることによって、資金ショートを避けることが最善といえます。
キャッシュフロー計算書に着目しながら、資金繰り対策を実践していくことも黒字倒産を防ぐ方法といえるのです。
資金ショートに有効な対策とは
本来は資金ショートしないよう事前に対策するのがベストですが、万が一、資金ショートしそうな時にどのような対策が有効か具体策をご紹介していきます。
資金ショート対策1・資産の現金化
■定期預金を崩す
資金ショート対策として、仮に持て余している資産がある場合は現金化することによって、資金繰りの窮地を脱することも可能です。
先決となるのは定期預金を崩すことです。
定期預金を崩すことを避けたい時には、定期預金そのものを担保に融資をするという対策も存在します。
■手形割引を活用する
支払期日まで間があるようなら、期日に至るまで現金化させることも対策として可能です。
これを手形割引といいますが、当然、期日での受け取りと比較すると受取額は減額されます。それでも急遽現金を要する場合は資金繰り対策として有用です。
■不動産担保ローン
会社名義で土地や建設物などの不動産がある場合、担保にして融資を試みる不動産担保ローンも対策の1つです。
返済不可能に至った場合に不動産を消失してしまう危険性がありますので、慎重に判断するべきですが、低利子でまとまった金額を借入れられる可能性があります。
■在庫担保融資
企業に現存している在庫や原材料、それに機械設備自体を担保にすることによって融資を行うという対策が在庫担保融資となります。
■遊休資産を積極的に売却する
現在事業で用いていない会社名義の遊休資産が存在するのであれば、積極的に売却することも資金ショート対策の1つとして推奨します。
事業が順風満帆の際に福利厚生に資するために入手した建築物や土地、投資のための会員権などは、現金化が可能であるばかりでなく、固定資産や管理費を削減することにも役立つため、資金ショート対策の観点から相当有用な方法です。
ただし、現金化する際には、購入した際よりも価格が低下している場合がほとんどです。
仮に融資の評価として評価の減額になるなどの影響が考えられますので、あくまで資金ショートに際して窮地に陥った際に用いる対策と心得て、十分に精査した上で実行しましょう。
■生命保険の解約
貯蓄としての機能を有する積立型の生命保険に入っているのであれば、これを解約した上で、改めて掛け捨て式のものに加入することによって解約控除を差し引いた金額が払い戻されます。
これは一時的ではあるものの現金収入となることもあり得ます。
そして、敢えて解約を実行せずに契約者貸付制度を利用することによって、解約返戻額の7割ないし9割程度の借入を実現できる可能性もあります。
■経営者自身が会社のために補填する
経営者にとっては痛手であるために推奨できませんが、経営者が個人の有する預貯金などを会社に入れるという、俗に社長借入と称する対策もあります。
この社長借入が推奨されない理由としては、銀行融資に際して自己資本比率を低下させることになりかねないため、銀行側は企業の評価を下げる傾向があるからです。
しかしながら窮地に追い込まれている際には、企業に係る資金に余裕が生じた段階で返済するか、または資本金へ戻すことを前提として対策の1つにしてみるのもありです。
■融通手形
融通手型は資金ショート対策として推奨しかねます。
なぜなら、俗に空手形と称される手法であり、取引が実行された際に振り出されるのが通常であるのに対して、取引をせずに振り出すのが融通手形の性質であるからです。
資金ショートという有事に際しての効果は期待できるものの、多用してしまえば返済が遅延した際に融通者、被融通者ともども危険性が生じてしまうために本当に窮地に陥っている場合以外では推奨できかねます。
資金ショート対策2・銀行にリスケ申請
資金ショート対策の2つ目として、特に資金ショートが目前である場合には、支払に猶予をもらえるように銀行にリスケを申請してみましょう。
リスケとはリスケジュールを略したものですが、借入した返済金額の期限に猶予をもらえるように交渉したり、金額自体の減額を申し立てるものです。
リスケ申込書に加えて、経営状況を示した経営改善計画書及び資金繰り予測表などを準備して、銀行側との交渉に望んでいきます。
なお、リスケでの資金ショート対策は容易なことではなく、リスケ自体の成功率は2割ないし3割程度とされています。
これを例えば7割から8割程度にまで向上させていくためには、交渉の対象となる銀行員がどのような考えを持っているかを読解していく必要性が生じてきます。
■銀行員はどのように考えているか
リスケを成功させる方法として、自社がどのような状況であるかを説明したり、自社が過去にどのような善行を行ってきたかを強調しても、対策として十分ではありません。
銀行側がどのように思考しているかを考慮していかなければなりません。
自社がどのような窮地であるかを説明し感情的に訴えたり、善行を強調しても、銀行側としては何ら関係のないのです。
銀行としては返済してくれるか否か、この一点が最重要です。
■リスケ成功率を5割向上させるために
銀行側を納得させるためには、どのような経緯でリスケに至ったか、その要因や対策を示した上で、返済していく予定を入念に説明することが重要です。
まず、当初の予定どおり返済が不可能に至った根拠とはどのようなものであるかを説明した上で、返済する際にどのような対策を講じているか、また、どのように返済するかという対策方法を具体的に説明するべきです。
なるべく具体的かつ第三者からみても容易に理解に至るよう根拠を示した対策であることが重要です。
資金ショート対策3・税金支払いの先延ばし
資金ショートしそうな場合でも、支払に係る請求書などは通常通り通知されてきます。
税金や社保、それに従業員に支払わなければならない給与なども定期的に発生します。
ここで、重要なのが、どのように優先順位を付けるかということです。
その優先順位としては、資金ショートしそうな場合、まず手形や小切手、次いで給与などの人件費、それから仕入れや外注に要する費用、事務所などに要する賃料、銀行への返済、社会保険、税金という順序で支払いましょう。
手形や小切手を優先させる理由とは、不渡りを生じさせてしまった場合、銀行側からの信用を失い取引停止になるためです。これは倒産に直結しますので注意が必要です。
次に給与ですが、経営者として従業員の生活を保護する点と、会社の運営を継続させる点で必要不可欠だからです。
銀行への返済や社会保険、税金が下位に位置づけられる理由とは、支払に猶予を持たせることが可能だからです。
当然ながら、踏み倒すのではなく、一定期間猶予をもらえるだけと考えておきましょう。
なお、支払い遅延の場合は延滞税が生じ、これを滞納すれば強制執行によって差押になる場合もあります。
資金ショート対策4・支払サイトの先延ばし
支払サイトの先延ばしも資金ショートした際の対策としてかなり有用といえます。
支払サイトとは、仕入れなどの取引で、取引金額の締め日から実際の支払日までの期間のことです。
支払サイトの先延ばしの対策としては、資金ショートが目前という窮地の場合は、経営者が出向くことで成功率が上がります。
なお、支払サイトの先延ばしのために無理強いするような行動派は控えましょう。
下請代金支払遅延等防止法2条の2において、支払サイトを60日以上設定することによって、遅延損害金が発生してしまい、公正取引委員会から支払うように命じられる場合もあります。
資金ショート対策5・入金の前倒し
支払サイトの先延ばしとは正反対に、入金を早くしてもらうことも資金ショート対策の1つです。
これは前借りに類似したものであり、取引先に相談の上で本来の入金日よりも早く支払ってもらう対策となります。
支払サイトの先延ばしと同様に、経営者が直接動いて依頼する必要があるといえます。
付き合いが古く懇意であればあるほど、取引先も真剣に考えてくれるはずです。
手形によって支払をしているのであれば、入金期日は従前のまま、手形のみを早急に切るように依頼してみることも対策として考えられます。
資金ショートが目前に迫っている場合
■ノンバンクを用いる
上記の対策を実践しても、資金ショート対策として有効ではなかった場合には、なるべく迅速に現金を入手することが次善策です。
そのため迅速に返済可能であるならば、消費者金融の事業者専用カードローンや信販会社などを検討しましょう。
銀行などの融資は審査期間に数ヶ月程度を要しますが消費者金融は銀行と比べて最短即日融資を実現し担保も保証人も不要というメリットがあります。
ですので、消費者金融は資金ショートという窮地に陥った際に役に立ちます。
しかも、黒字倒産の場合、返済のあてがある場合が多いために、消費者金融の高金利というデメリット面の影響は軽微で済みます。
よって、資金ショートといういざという場合には最短即日融資を実現できる消費者金融を用いる対策も検討する価値があります。
注意点は、高金利ですので長期的な借入は避けるようにしましょう。
あくまで資金ショート対策として有用ということです。
■ファクタリングを用いる
ファクタリングを用いるためには、売掛金が発生していることが前提です。
資金ショートによって黒字倒産する事例の多くが支払と入金とのタイムラグによって生じていることから、そのようなタイムラグを解消してくれるファクタリングは資金ショート対策として有効な対策です。
どれだけ売上が計上されてもタイムラグが生じているために入金されていなければ、会社には現金が存在しないことになります。
上記で述べたとおりに資金ショート対策を講じても、売上があるにも関わらず現金が空である資金ショートの状態から脱却するためにはファクタリングが有効です。
ファクタリングも消費者金融からの融資同様、最短即日融資を可能としています。
また、審査対象が資金調達を必要としている企業でなく、売掛先であることから、自社が赤字や債務超過に陥っていても利用可能です。
さらには税金を滞納していたりブラックリストに掲載されていたとしても売掛金が確かなもので回収できると判断されれば利用できます。
その上、ファクタリングは買い取ってもらう性質ですので、借入ではなくそのまま会社の資産となるのです。
また、2社間取引ファクタリングであれば取引先に知られずに完結できます。
資金ショート対策のまとめ
資金ショートしそうな場合の対策を中心に解説してきました。
事前に資金繰りを適切に管理することで黒字倒産は回避可能ですが、万が一、資金ショート寸前という事態に至ったとしても対策方法はいくつか残されています。
ただし、本質的な改善ではありませんので、普段から資金繰り対策を入念に行うべきです。
売上が順調かつ経費に係る管理が入念であり、入出金が滞りなく実践されていれば、資金ショートに至ることもないといえますので日頃から意識しましょう。
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