資金繰りが苦しい時はどうする?急場の資金繰りを凌ぐ5つの方法
会社を経営していると資金繰りが苦しい状況になる場合も考えられます。
業績が悪くて資金繰りが苦しいのはもちろん、予定外のトラブルなどによって急な資金が必要となる事もあります。
また、会社が順調に成長軌道を描いていても在庫や運転資金の回転の都合で資金繰りが苦しくなるというケースも考えられます。
このように会社の業績が良くても悪くても資金繰りが苦しくなるケースは存在し、その際には急場の資金繰りを凌ぐ事が必要です。
本記事では資金繰りが苦しい時にどうするべきなのか、急場の資金繰りを凌ぐ方法について説明します。
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目次
【資金繰りが苦しい時はどうする】
まずは資金繰りが既に苦しい場合について説明します。
資金繰りが苦しい状況は大きく分けて、資金を調達するか支払いを遅らせるかの2つの選択肢があります。
<資金調達の王道は銀行融資>
まず、数か月後に資金調達が必要な事に気づいた場合、王道の資金調達方法は銀行からの融資です。
銀行から融資を受けるためには、支店決裁の融資でも申し込みから2週間程度、信用保証協会付の融資の場合は1か月程度かかると考えておいた方が良いでしょう。
さらに、申請書類の準備などもありますので、最低資金が必要となる5週間前程度には準備を始めた方が良いと考えられます。
銀行融資は一般的に最も資金調達コストが安いので、まずは銀行融資が受けられないかどうかを検討しましょう。
ただし、資金繰りが厳しいという事は構造的に赤字を出す体質になっている場合も考えられますので、銀行から必ずしも希望額の融資を受けられない可能性もあります。
<ビジネスローンで補填できないか考える>
銀行からの融資金額が不足している場合、ビジネスローンを利用するのも選択肢となります。
ビジネスローンは銀行よりも資金調達にコストがかかります。
基本的には即日融資は不可能で、融資を受けるために1週間から2週間を見込んでおいた方が良いでしょう。
<ファクタリングは使いどころを考える>
銀行やビジネスローンで融資を受けられない場合の資金調達方法としてファクタリングがあげられます。
審査に掛かる時間も銀行やカードローンよりも短く債権の内容がしっかりしていて書類が揃っていれば即日融資の可能性もあります。
ただし、資金調達コスト(手数料)が高い傾向にありますので、未来に入金されるお金を先食いする事になる点を理解して計画的に利用しましょう。
<役員報酬の支払いの繰り延べを検討する>
直近で資金調達が必要な会社で、上手く資金調達が行えなかった場合現実的に行える対策として考えられるのは、自分の役員賞与を支払わずに会社の運転資金にあてるという事です。
ただし、法人の場合、自由に役員報酬を期中に突然変更する事はできません。
会社法の規則に則って役員報酬を変更しなければならないので注意してください。
また、役員報酬は支払ったと言う事にして社会保険料だけ支払ってそのまま手取り金額を役員借入金として会社に残して置くという方法も考えられます。
いずれにしても税理士と相談した上で行った方が良いでしょう。
また、これと同時に役員やその親族が会社にお金を貸すと言う方法も考えられます。
ただし、きちんと金銭貸借などの書類が残っていないと融資ではなく贈与だと見なされて贈与税が発生したり、会社の営業外利益と見なされて納税額が増える可能性もあります。
きちんと契約書を用意して税理士と相談した上で実行することが大事です。
<支払いを遅らせる>
資金調達を行って、役員報酬の支払いを繰り延べてもまだ資金が不足している場合は、支払いを遅らせる事も検討する必要があります。
ただし、支払いを遅らせるとその後の経営に大きく影響する項目があるので、何の支払いが遅らせることが可能か精査しましょう。
例えば、従業員の給与支払いは社内の事なので言いやすいかもしれませんが、遅らせると一気に組織が崩壊する可能性がありますので最後まで行うべきではありません。
主要な取引先も同様です。
支払いを遅らせる場合は、業績に影響がないような会社から粘り強く交渉する必要があります。
【資金繰りが苦しい状況を未然に防ぐ方法】
以上のように資金繰りが苦しい時にどのような対応方法が考えられるか説明しましたが、そもそも資金繰りが苦しくなるような原因を排除して経営を行う事に越したことはありません。
ここでは資金繰りが苦しくなるのを防ぐチェックポイントについて説明します。
<資金繰り表をマメに更新する>
まず、前提として資金繰りが苦しくなるタイミングをきちんと把握する必要があります。
実はこの時に一番重要なのは、どのタイミングまでにいくら資金調達しなければならないのかを早くに察知する事です。
資金が必要な2か月前に資金調達が必要だと気付くのと、前日に資金が足りなくなるのに気づくのでは資金調達の難易度が変わるからです。
2か月前に資金が足りなくなると気付いた場合、例えば銀行からの融資を受ける準備をじっくりと行えます。
一方、1週間前になるとビジネスローンなどでなければ間に合わなくなります。
前日になると実質的には自分が役員借入金として補填するなど、対応策が限られてきます。
このように、資金繰りが苦しいタイミングをあらかじめ見極める為に資金繰り表を作成して日頃から資金状況を把握しておくことが重要です。
<支払いサイクルを確認する>
次に行うべきは支払いサイクルを確認する事です。
例えば仕入れにかかる経費が3か月後の掛け払で、2か月ですべて在庫を売り切れるのならば、仕入の為にお金が滞留しないので実質的に在庫0円で仕事を行う事ができます。
一方で、1か月ですべて在庫を売り切れても、仕入れが現金ならば1か月分の在庫の為のお金は必要です。
このように、お金の支払いと入金サイクルは企業の資金繰りに大きな影響を与えるので、できるだけ条件が良くなるように交渉した方が良いでしょう。
<未収金には要注意>
次に気を付けなければならないのが未収金です。
未収金は試算表上では売上に計上されていますが、売掛金となっている限り会社の資金繰りには貢献しません。
特に特定の1社によって売り上げの大部分を作っている下請け型の企業の場合、その企業からの売り上げの回収が滞ると会社の経営自体も危機を迎えるというケースも少なくありません。
例えば手形として確実に回収できる形にしてもらい、どうしても資金が必要な場合は手形割引を利用するなど、未収金に関するリスクヘッジを行った方が良いでしょう。
<補助金・助成金は基本的に後払いなので注意>
資金繰りで気を付けたいのが補助金や助成金の扱いです。
補助金や助成金は申請が受理されても基本的には実績を報告して、所轄している官庁がチェックを行ったあとの入金となります。
よって、基本的に補助金、助成金に関する事業に必要な経費は先に自分で負担しなければならないという事には注意してください。
【資金繰りが苦しい時の対応方法まとめ】
資金繰りが苦しい時の対策について説明してきましたが、一番重要なのは資金繰りが苦しくなった原因を突き止めて解決する事です。
売上に販管費が見合っていない場合はコストカットを行うべきですし、不採算部門ははやめに閉鎖しないと後々大変なことになりかねません。
資金繰りが苦しくなると言うのは決して珍しくないケースですが、なぜ資金繰りが悪くなったのかどうすれば解決するのかが分からない状態は非常に危険だと言えます。