徹底解説!WiLベンチャーキャピタルの評判とは?

ベンチャーキャピタルは主に投資するステージ毎に得意な領域がわかれています。一般的にベンチャー企業は、シード、アーリー、ミドル、レイターの4ステージに分類され、それぞれのステージによって企業が成長する為に必要な目標は異なりますが、各ステージでは付き合うベンチャーキャピタルも付き合い方も変わります。

シード期のベンチャー企業は数百万から数千万円の規模の投資を行うインキュベーターと言われているベンチャーキャピタルと二人三脚で事業を大きくします。ここから徐々に事業規模が大きくなってきてIPO目前になるとレイター期になります。レイター期には上場が目前となっている事もあり、受ける投資の規模も数億円単位になりますし、資本政策を考えて、どこのベンチャーキャピタルと付き合ってどのようにビジネスを拡大していくのか、ベンチャーキャピタルをよく選別するようになります。

今回紹介するベンチャーキャピタルはWiLベンチャーキャピタルというアメリカと日本で活動するベンチャーキャピタルで主にレイター期のベンチャー企業に投資をしています。本記事ではWiLベンチャーキャピタルの概要や評判などについて徹底解説します。

【日本から世界を目指す企業に投資をする巨大なベンチャーキャピタル】

まず、WiLコーポレーションの特徴として挙げられるのが運用しているファンドの大きさです。WiLコーポレーションは2013年に設立されたベンチャーキャピタルですが、1号ファンドは約300億円規模となっています。一般的に有名なベンチャーキャピタルでも運営するファンドは1つ30~40億円程度で、100億円規模のファンドになると巨大ファンドだと言われます。また、2013年の日本でのベンチャー企業への投資が約1200億円だったことからもそのファンドの巨大さはわかります。ファンドに出資している企業は大企業ばかりで全日空やソニー、日産自動車、ソニーなどの大手企業が出資している事からも期待の高さがうかがえます。

また、日本人が中心になって運営しているファンドですが、日本とアメリカで活動しています。創業の中心人物である伊佐山氏はシリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルであるDCM出身で、10年程度現地でベンチャー投資をしていた経験があり、アメリカのベンチャー業界に対して強いコネクションを持っていると考えられます。

【ビジネスの立ち上げから参画する場合もある】

冒頭で説明した通り、基本的にはレイターステージの企業に対する投資を行っていますが、企業が有望な技術を持っているけどまだビジネス化されていない場合、投資だけではなくビジネスを立ち上げる所から企業経営に参画する場合があります。

その例として挙げられるのがQrioというスマートロックの開発・製造・販売を行っている会社で電機メーカーのソニーとWiLベンチャーキャピタルのジョイントベンチャーとして2014年に設立されました。Qrioの代表取締役はWiLベンチャーキャピタルの創業メンバーである西條氏が務めており、出資比率はWiLベンチャーキャピタル6割、ソニー4割で設立されている事からもWiLコーポレーションがQrioの経営に対して主導権を持っている事がわかります。

この他にもソニーからスピンアウトした技術を用いたビジネスに関わっており、2017年にはソニービデオ&サウンドプロダクツからスピンアウトしてambileというオーディオ製品の開発・製造・販売などを行う会社をWiLベンチャーキャピタル67%、ソニー33%の出資割合で設立して、WiLベンチャーキャピタルの創業者である松本氏が代表取締役として経営に参画しています。

このように大企業の保有している技術からスピンアウトしてジョイントベンチャーを設立して、積極的に経営に参画して技術を事業化するのがWiLベンチャーキャピタルの特徴だといます。

【WiLベンチャーキャピタルが関わった投資案件について】

では、WiLベンチャーキャピタルはこれまでどのような投資案件に関わってきたのでしょうか。第一号の投資先は2014年2月に投資を行ったトライフォートという会社です。トライフォートは2012年8月に設立された会社で当時市場が急成長していたスマホアプリの受託開発をしていた企業です。2018年1月時点では上場していませんが資本金は準備金を含めて約7.2億円まで増加し、2017年にはSBIインベストメントから3億円の資金調達に成功しています。

この他に投資先の企業で有名な会社としてはフリマアプリのメルカリやネット印刷のラクスルなどが挙げられます。またシリコンバレーで活動している強みを生かしてアメリカの企業にも投資しており、クラウドソーシングのCasterやカスタマーエクスペリエンス管理ソフトの開発を行っているBIRDEYEなどに投資を行っています。

EXITの実績としては、アプリ制作のgumiやECサイトのロコンドが東京証券取引所に、ライフスタイル系エンターテイメントのhmvが香港証券取引所に上場していたり、IoT向け通信プラットフォームのソラコムがKDDIに買収されたりしています。

【WiLベンチャーキャピタルの投資を受けるためには】

基本的にWiLベンチャーキャピタルが対象としている投資先はレイター期の企業なので、こちらから何もない状態でアプローチするというよりは紹介されたり、WiLベンチャーキャピタルからアプローチがあったりというパターンになると考えられます。
レイター期になると上場も視野に入れて、上場時の資本政策も考えなければならないので、投資される金額だけではなく、どのようなサポートが受けられるのかと言うのが非常に重要になります。WiLベンチャーキャピタルの場合は海外展開に重きを置いており、アメリカでも活動している事から、サービスの世界展開、特にアメリカを攻めたいという企業にとっては頼もしいと言えます。

注力している分野は、法人向けITシステム、Fintech、Eコマース、インダストリー4.0、次世代交通、エンターテイメント・メディアなどで、一件当たりの投資金額は3億円程度でレイターステージの企業への投資金額としては一般的な金額だと言えます。

【最期に】

以上のように、WiLベンチャーキャピタルについて説明してきました。レイターステージを中心に投資を行っているので、ほとんどのベンチャー企業経営者にとってはあまり馴染みのない会社ですが、2013年設立で1号ファンドは300億円という巨大なファンドを運営しているベンチャーキャピタルです。

創業者はシリコンバレーで長年ベンチャー投資を行っていたために、日本だけではなくシリコンバレーにもコネクションがあるので、ビジネスを世界展開したい、アメリカに進出したいというベンチャー企業にとってはとても頼もしいベンチャーキャピタルだと言えます。

注力しているのは、法人向けITシステム、Fintech、Eコマース、インダストリー4.0、次世代交通、エンターテイメント・メディアなどで1件あたりの投資金額は3億円程度となっています。投資を開始したのは2014年からですが、既にロコンド、gumiなどの投資先が上場しており確実に成果を挙げています。現在までに40件の投資をしており、年平均13件程度とハイペースに投資を行っており、今後メルカリやラクスルなど投資先の中から更に上場企業が誕生する事が期待されます。

基本的にはレイターステージの企業にしか投資しませんが、有望な技術などがあればジョイントベンチャーを設立して事業化する事もあります。例えば、Qrioやambieという企業はソニーグループとWiLベンチャーキャピタルのジョイントベンチャーとして設立されてWiLベンチャーキャピタルが株式の過半数を保有し、人員も投下して経営に参加しています。このように大企業の技術をベースにしたスピンアウトの事業化に対しても積極的に参画する特殊なスタイルのベンチャーキャピタルだと言えます。