クラウドファンディングでありがちなトラブル5選と回避方法!起案者・支援者の双方でチェック

 

資金を集めたい人と支援したい人を直接結び付けるクラウドファンディングは世界、そしてここ日本でも急速に普及・拡大してきました。

その一方、インターネットを主軸に据えた資金調達方法という事でトラブルも必然的に増えてきています。

ここではクラウドファンディングを利用する上でありがちなトラブルと回避方法を、起案者・支援者双方の視点からチェックしていきたいと思います。

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国内クラウドファンディングの現状

現在世界中に広まりつつあるクラウドファンディングですが、そのムーブメントを世界に先駆けて作ったのはアメリカだと言えるでしょう。

2008年に設立されたクラウドファンディングサイトであるIndiegogo、そして2009年に設立されたKickstarterの2社は今現在ではアメリカを代表する2大クラウドファンディングサイトとしての地位を確固たるものとしています。

アメリカでクラウドファンディングサイトが盛り上がりつつある事をいち早く察知し、ここ日本では2011年にReadyforが初めてのクラウドファンディングサイトとして運用を始めました。

設立されてからすぐ無くなってしまうもの、あまりにも規模が小さすぎるものなども含まれているため正確な総数のデータはありませんが、名前が知られたものだけでも国内には現在100を超えるクラウドファンディングサイトが存在しています。

あまりにも急速に拡大したため、基本的なルールこそ定められているものの利用に当たっては運営会社と利用者のモラルに委ねられている部分も多いのが現状でしょう。

国内クラウドファンディングの市場規模

国内に存在するクラウドファンディングサイトが急激に増加し、その取引額も増えてきた事を受けマーケティング調査を代行する会社が積極的にデータを収集・公開するようになってきました。

特にマーケティングを専門とする「矢野経済研究所」では、日本でクラウドファンディングが運用され始めた初期から積極的にデータを集め公開しています。

  • 2012年 71.61億円
  • 2013年 124.29億円
  • 2014年 216.10億円
  • 2015年 363.34億円
  • 2016年 477.87億円
  • 2017年 見込み1,090.400億円

矢野経済研究所 国内クラウドファンディング市場調査(2017年)  https://www.yano.co.jp/press/press.php/001730

新規プロジェクトの支援額をベースとしたものですが、上記を見ても国内のクラウドファンディング市場が急激に拡大している事が分かります。

特に、2015年以降は所謂「後発組」となるクラウドファンディングサイトが続々と登場してきた事から増加ペースも顕著です。もちろん、取引額増加傾向は日本だけのものではなく、世界的に見てもクラウドファンディングサイトの人気は加速し続けていると言って間違いないでしょう。

しかし、利用者や規模が大きくなるにつれてトラブルの数も必然的に多くなってきています。

クラウドファンディングの種類とトラブル

ここまでは現状と市場規模を見てきましたが、せっかくなのでクラウドファンディングの種類についても理解しておきましょう。クラウドファンディングの種類は「購入型」をはじめとして、以下の順に増えてきました。

・「購入型」

この方法では資金調達者、つまりプロジェクトの起案者が最終的に支援者に対して何らかのお礼の品物(リターン)を送らなければなりません。購入型は日本だけでなく世界的に見ても最も一般的なクラウドファンディングの種類です。

「これまで無かった新しい商品を生み出す」「既存の商品より更に魅力的なものを作る」などをはじめ、社会的な活動など幅広い目的で用いられ、支援者は主にリターンを目当てとして出資を行っています。このような目的のため、主に「プロジェクト起案者」「お礼の品物(リターン)」が原因となるトラブルが多くなっています。

・「寄付型」

お礼の品物などが設定されておらず、ある意味「募金」のような形で実行されるのが寄付型のプロジェクトです。被災者や社会的弱者の支援、魅力的なサービスなどが多く上記の購入型に次いで人気の高い方法となっています。

日本ではReadyfor Charityなどを中心に、年を追うごとに寄付型を取り扱うクラウドファンディングサイトは続々と登場してきています。

購入型と同じく「プロジェクト起案者」を原因とするトラブル、そもそもプロジェクト自体が資金調達を主目的としたものでありプロジェクトは二の次になるといった問題が起きやすい方法です。

・「投資型」

投資型は更に細かく種類が分かれ、大きく「ファンド型」「株式型」「貸付型」の3つがあります。

国内では金融商品取引法に触れている事からなかなか取り扱うクラウドファンディングサイトが増えず、上記2つの方法に比べあまり普及しているとは言えないのが現状です。

しかし、金融庁が金融商品取引法の一部改正を検討している事から、今後一気に普及していく事が考えられます。

内容としては株式取引と似たようなものであると考えて頂ければ問題ないでしょう。2017年現在はまだ規制が厳しいためあまり問題にはなっていませんが、今後普及が広がると詐欺などのトラブルが起こる可能性が考えられるでしょう。

クラウドファンディングでありがちなトラブルと回避方法

ここからはクラウドファンディングサイトを利用する上で実際に起こりえるトラブルについてチェックしていきましょう。

どのようなトラブルが起こりえるか事前に知っておく事は、不要な時間や労力をかけないための予防策となるでしょう。

これからプロジェクトの起案、そして支援を考えている方は是非入念にチェックしておきましょう。なお「投資型」のクラウドファンディングサイトには貸し倒れ等のリスクが考えられますが、上記でご説明した金融商品取引法などを考慮してここでは取り上げていません。

・資金調達の失敗

運営会社にもよりますが、クラウドファンディングの成功率は「購入型」を中心とすると一般的に3割前後とされています。この3割という数字は、実際にクラウドファンディングサイトに掲載されたプロジェクトだけを見た数字です。

そもそもクラウドファンディングサイトは掲載前に運営会社による厳正な審査が行われるのが普通であり、応募時の総数こそ公表されていませんがほとんどのプロジェクトは掲載前にはじかれていると思われます。

一部掲載後のプロジェクトにおいて圧倒的な成功率を誇っているサイトも中にはありますが、そうしたものは基本的に「成功しやすいプロジェクト」を厳選して掲載している事が多いのです。

この点から考えると、誤解を恐れずに言えば掲載前・掲載後関わらずクラウドファンディングサイトでの資金調達の可能性はあまり高くないと言う事で間違いないでしょう。

初めからクラウドファンディングの資金を当てにして事業を開始すれば、その後のトラブルの可能性は飛躍的に上昇します。

小規模なものなら問題はありませんが、クラウドファンディングと併用して資金を借りていた場合、商品開発前提で取引を進めていた場合などは問題です。あくまで確実な資金調達手段でないことを予め理解した上でクラウドファンディングサイトを利用した方が良いでしょう。

・特許や著作権を侵すリスク

クラウドファンディングサイトには必ず利用規約が明記してありますが、その中では著作権やプライバシーに関するプロジェクトを禁止する事項が設けられています。

当然そういったものは審査を通過できないはずですが、中には審査をすり抜けてしまう事があるのです。これは運営会社が著作権やプライバシーなどに抵触しているか見極めるのが非常に難しいという問題も関係しているのでしょう。

その為、利用規約には著作権やプライバシー等の問題を起こした場合、運営会社は一切責任を負わないという記述も設けてあります。

Kickstarterをはじめ、アメリカのクラウドファンディングサイトでは特許侵害や著作権に関する問題が頻繁に起きています。日本ではあまり公になりませんが、これは市場規模がまだアメリカに追いついていないだけであり今後は増えてくると予想されるでしょう。

悪意を持って侵害行為をするのは論外ですが、そのようなつもりがない場合でもプロジェクト達成後に訴えられる可能性は充分にあり得ると言えます。

事前に下調べをする事も重要ですが、近年では国内クラウドファンディングサイトの一つであるKibidango「知財特割サポートプラン」のように特許に関するサポートを行ってくれるものも登場してきました。

訴えられる可能性が無いとは言い切れませんので、プロジェクト掲載前に不安を感じたら事前調査を行うようにしたいものです。

Kibidango 「知財特割サポートプラン」プレリリース http://corp.kibi-dango.jp/press_release/622.html

・ネットで批判を受けるリスク

クラウドファンディングサイトが知名度を上げるにしたがって、TwitterなどのSNSや匿名掲示板などで炎上するような事も多くなってきました。

ここではあまり詳しくご説明しませんが、炎上させる側としては自身の事だけを優先するような粗のあるプロジェクトを批判の対象とする事で、アフィリエイトなどで間接的にお金を儲ける狙いがあると考えられます。過去に炎上したクラウドファンディングとしては以下のようなものがあります。

・2015年 京都の女子大生が「スケッチブックを持って発展途上国を周る」というプロジェクトをCAMPFIREに掲載した所、支出の中に「カメラ代」などが含まれていた事などを理由として「ただ旅行したいだけ」と批判を受ける。Facebookなどもチェックされ、旅行に関する内容が多かった事から更に批判の声が高まる。資金自体は集まっていたが、最終的にプロジェクトページも削除された。

・2017年 こちらも同じくCAMPFIREのプロジェクト。大学生のため出産・育児のための資金をクラウドファンディングサイトで集めるというものでしたが、「個人的すぎる」という理由で公開前となっているにも関わらず見事に炎上しました。(2017年11月時点でプロジェクトページは存在)ただしこちらはブロガーの方が募集しているため、自身のブログなどへのアクセスを考え「炎上狙いで立ち上げた」という可能性も否定できません。

プロジェクトページURL(削除、更新の可能性があります。)  https://camp-fire.jp/projects/view/48942?token=1qmp2b9n

上記以外でも、主に「個人的と思われる」事が原因で炎上してしまうプロジェクトは後を絶ちません。顔写真については運営会社によりますが、クラウドファンディングサイトは基本的に自身のプロフィールを公開しなければいけません。

宣伝はプロジェクト起案者の手に委ねられており、TwitterやFacebookのリンクを掲載するのは最早必然となって来ています。そうした事から、個人的な理由があまりにも透けて見える様なプロジェクトは炎上しやすくなっていると言えるでしょう。

一度批判の的になれば運営会社側も敬遠するでしょうし、今後クラウドファンディングサイトで資金調達するのが難しくなるのは間違いありません。プロジェクト掲載前には、本当にクラウドファンディングサイトを利用するのが相応しいか慎重に考える必要があるのではないでしょうか。

・商品発送時の際のトラブル

「購入型」のクラウドファンディングは最終的にリターンとして設定した品物を発送しなければなりません。

しかし、支援者がSNSやブログで「商品が届かない」という発言をする事が増えており、この事から商品発送時に何らかのトラブルが起こっている事がわかります。

クラウドファンディングを利用する際プロジェクトの起案者は品物を送る日程を公開しておかなければなりませんが、主に商品開発の問題で発送が遅れるトラブルが起きてしまうようです。

プロジェクト起案者側は事前に余裕のある日程を公表する事、そして支援者側はあくまで日程は目安だと考える事でこのトラブルを回避する事ができるのではないでしょうか。届いた品物が破損していた場合などは当然起案者側による保証を受ける事ができるか事前に確認しておく事も重要でしょう。

・詐欺やプロジェクト起案者、サイト自体の破綻

アメリカではクラウドファンディングによる資金集めの詐欺、またはプロジェクト起案者が資金を調達した後に破綻してしまうケースなどがままあります。

日本では現在の資金・資本金をはじめプロジェクト掲載者の事前調査を比較的厳正にしている事に比べ、アメリカのクラウドファンディングサイトは審査が通りやすい事も理由となっているのでしょう。

国内のクラウドファンディングを利用する際あまり気にする必要はありませんが、気になるようでしたら公開されたプロフィールを入念にチェックするようにしましょう。

最近では「CAMPFIRE」をはじめ特に支援者に対して返金を保証する「クラウドファンディング保険」を作る運営会社も登場してきましたので、そのようなサービスを利用するのも一つの手です。

クラウドファンディングサイト自体が破綻してしまうケースは珍しいのですが、2017年にはアニメや漫画関連のプロジェクトを多く扱う「CROSSクラウドファンディング」を運営していた「そらゆめ」が破綻したという事例がありました。当然「CROSSクラウドファンディング」を利用していた企業・個人はプロジェクトの途中終了を余儀なくされたわけですが、クラウドファンディングが急速に増加している現在このような事態になってしまう事も多くなると予想されます。

既に数年運用されたクラウドファンディングサイトほど利用者が集まりやすく実績があるのは間違いありませんので、安心してプロジェクトを進めたいならそうした運営会社・サイトを選ぶのが無難と言えるでしょう。

実際にトラブルが起こったら起案者はどうする?

例え慎重にプロジェクトを掲載したとしても、上記のようなトラブルが起こってしまう可能性は決してゼロではありません。仮に何らかのトラブルが起きてしまった場合は、まず運営会社に相談する事がおススメです。

よほど小規模の運営会社ではない限り、利用規約には「プロジェクトに関するトラブル」であれば一定のサポートを行うと明言されているはずです。

しかし、上記「プロジェクトに関するトラブル」以外で自身に問題があると考えられる場合は運営会社によるサポートは期待できません。例えば、ネット批判や特許・著作侵害などが起きた場合は自身、または専門業者などに依頼する必要が出てくるでしょう。

【まとめ】クラウドファンディングはまだまだ発展途上

いかがだったでしょうか。

急速に普及・拡大してきたとは言え、クラウドファンディングサービスはまだまだ新しい資金調達手段の一つです。

今後の発展によっては、上記以外の新たなトラブルが増える事も十分に考えられます。しかし、それと同時にクラウドファンディングが便利で素晴らしいサービスである事は間違いないのです。

起案者・支援者ともに、トラブルが起こるリスクを理解した上で正しくクラウドファンディングを利用するようにしましょう。