資金繰り

資金繰りが厳しい状況を乗り切るには何が必要?資金調達と危機回避のテクニックとは

資金調達と危機回避のテクニック

事業運営とは切っても切れない関係になるのが資金繰りです。例え業績が順調に伸びている企業でも、うっかり資金繰りを怠ってしまうことで厳しい状況に陥ってしまい最悪なケースでは黒字倒産してしまう可能性もあります。

万一事業運営で資金繰りに躓いてしまい厳しい状況に陥ってしまったとしても、しっかりとリカバリーすることができれば回復は可能です。

ここでは資金繰りを上手に行う方法や、万が一、事業運営が厳しい状況に陥った際の効果的なリカバリーテクニックを紹介します。

資金繰りの重要性

まず資金繰りの重要性を理解しましょう。

資金繰りの良し悪しによって会社の存続に関わりますので、資金繰りの重要性を理解するのが大事です。次に大事なのは、資金繰りが厳しい状況になる前に、事前に対策することです。

資金繰りは対策方法が限定され必要に迫られた際に対策を講じれば解決するようなものではなく、早い段階から資金繰りについての備えをしておく必要がありますので、その具体的な内容をチェックしましょう。

>>資金繰りの事前の改善ポイント詳細はこちら

資金繰りが厳しい状況となった理由を掴むことが重要!

資金繰りが厳しい理由が重要

事前に資金繰りの備えをした上で、万が一、資金繰りが厳しい状況になった場合は、その原因・理由を知ることが重要です。

一口に資金繰りが厳しいと言っても

  • 業績が伸びたものの売上の中で売掛金が占める割合が増加
  • 未回収の売掛金が高額な取引先が倒産したこと
  • 取引先を同業他社に奪われて業績が悪化したこと

等々、発生する内容は様々です。

運転資金の準備高が多ければ売上の中で売掛金の占める割合が増加した場合でも、持ちこたえることができますが、運転資金の準備高が少ない場合は資金繰りが厳しくなってしまいます。

また多額の売掛金がある取引先が倒産すると連鎖倒産の可能性も発生しますので、資金繰りが厳しいと言っても何とか資金調達して厳しい状況を脱する必要があります。

取引先を同業他社に奪われた場合は顧客の新規開拓や奪われた顧客の奪還などの営業努力が求められます。

上記のようにケースによって対策が変わりますので、資金繰りが厳しいと感じた場合は、資金繰りを厳しくしている原因を正確に掴みましょう。

厳しい資金繰りを解消する即効性のある方法とは?

しっかりとした資金調達計画をたてる時間がないほど、資金繰りが厳しい状況にある場合は一時的に運転資金を外部から投下してもらいながら内部の改革を行う必要があります。

外部から運転資金を導入する方法として「金融機関からの融資を受ける」「売掛債権を活用して運転資金を調達する」などの方法が存在します。

しかし金融機関からの融資を受けるためには一般的に審査と呼ばれる与信調査を通過する必要があり、与信調査には決算報告書の提出を求められるので資金繰りが厳しい状態であるほど審査のハードルが上がってしまうという皮肉な側面があります。

零細企業でも利用可能な資金繰り

一般論として零細企業ほど資金繰りがシビアになります。零細企業は大企業と比較して動いているお金は小さいですが、融資を受けることも難しいため、ちょっとした事故やキャンセルなどのトラブルによって資金繰りが厳しくなります。

零細企業の場合、信用力が低いため銀行からプロパーの融資を受けることは非常に困難ですので、可能性が比較的高い日本政策金融公庫もしくは信用金庫からの信用保証協会付の融資を検討するのが有効です。

日本政策金融公庫からの融資

特に創業期の零細企業にとって日本政策金融公庫の新創業融資制度は頼もしい味方です。

起業の準備段階から2期目の税務申告を終えていない企業を対象に、担保、保証人原則必要なしで融資を行っています。

まだ応募できる企業は積極的に狙っていった方が良いでしょう。

なお、この他にも取引企業の倒産などによって困窮している企業向けの取引企業倒産対応資金や事業承継のための事業承継・集約・活性化支援資金など政府の政策に合わせた融資制度が用意されているのでチェックした方が良いでしょう。

日本政策金融公庫など公的な融資制度について詳しい情報をご用意しています。

>>公的融資制度の情報はこちら

信用金庫の信用保証協会付融資

また、信用金庫からの信用保証協会付融資を狙うのも良いでしょう。

一般的に、都市銀行、地方銀行、信用金庫の順番に対象としている企業が大きく1件あたりの融資額も大きいため、零細企業はなかなか都市銀行、地方銀行の融資対象にはなりません。

零細企業が付き合うならば信用金庫が良いと言えます。

ただし、信用金庫でも事業規模が小さかったり、財務内容や企業の信用力に不安がある場合はプロパーでの融資は行いません。

そのような場合、零細企業は信用保証協会付融資でも良いのでまず融資を引き出すことが必要です。

信用保証協会は、企業が銀行から融資を受ける際に債務保証をしてくれる組織で、信用保証料の分だけ資金調達コストは上がってしまいますが、銀行の回収リスクが低くなるので融資を受けられる可能性が高くなります。

特に地方自治体毎に制度融資という一定の条件を満たせば信用保証協会への信用保証料の一部を自治体が負担してくれるサービスがあるケースもありますので、このような制度を併用して使うことによって少しの負担で資金調達を行うことができます。

銀行融資以外の資金繰り

銀行の融資が難しい場合で、例えば未回収の売掛金がある場合は、売掛債権証券化・売掛債権担保融資・ファクタリングという方法で売掛金のオフバランス化を行い、資金繰りが厳しい状況を脱することも可能です。

その他、ビジネスローン(事業者ローン)が利用できる場合があります。

ただし、ビジネスローンは銀行と比較して金利が高く、財務内容が悪ければビジネスローンも断られる場合があります。

一方で、無担保融資が可能な点や、融資まで審査が速いなどビジネスローンのメリットもありますので、急を要するケースや短期的な資金調達の際には利用を検討すると良いでしょう。

ビジネスローンの情報を取りまとめていますので参考にしていただければと思います。

>>ビジネスローンの情報はこちら

銀行融資やビジネスローンなどで資金調達ができない零細企業でも使える資金繰りの方法としてファクタリングは有効な手段の1つです。

ファクタリングは自社が保有している債権を売却して現金を得る資金繰りの方法です。

保有している債権の内容が重要な評価基準ですので、保有している債権の質によって、赤字や債務超過など財務内容が悪い企業でも資金調達することが可能です。

ただし、ファクタリングは将来手に入るはずだった現金を手数料を支払って手に入れます。つまり、将来入金される予定だった現金を先取りする形です。

ですので、無計画にファクタリングを連発すると後々の資金繰りが苦しくなりますので濫用はしない方が良いでしょう。

ファクタリングの情報を取りまとめていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

>>ファクタリングの情報はこちら

人を雇うのは慎重に!経費のポイントについて

ここまで資金繰りの方法について説明してきましたが、そもそも資金ショートを起こさないのが経営にとっては一番です。資金ショートを起こさないように経費支払いのポイントについて説明します。

固定費を無暗に増やさない

まず、重要なのが無暗に固定費を増やさないということです。

例えば、零細企業にとって一番怖いのが人件費です。大企業ならば窓際社員と呼ばれる収益に貢献しない社員を雇う余裕があるかもしれませんが、零細企業が少ない人員で自分の給料+会社の維持費するための利益を生み出す必要があります。

4人の社員がいて1人がまったく機能していないならば3人で4人分の利益を生み出さなければならないので単純計算で社員1人あたりに1.3倍の負担がかかります。

更に、日本の法制度上、社員を自由にクビにすることはできません。

このように一度、支払い始めたら簡単に辞めることができない経費を固定費と呼びます。

人件費の他にも事務所や店舗の家賃、車やパソコンのリース料などが固定費として挙げられます。

固定費を増やすと、売上不振でいざ事業を縮小しなければならないときも経費削減できないので固定費はできるだけ増やさない方が良いでしょう。

売上は早く、支払いは遅くがポイント

また、売上は早く、支払いは遅くするのが資金繰りの原則です。

商品の仕入れから販売、現金化までの期間が長ければ長いほどたくさんの運転資金が必要になります。

逆に、仕入れの買掛金は3か月後に支払い、仕入れた商品は1か月以内に現金で販売できるビジネスの場合は、先にお金が入ってくるので仕入れのための資金は必要ありません。

経費についても例えばクレジットカードで決済すると実質的な支払いタイミングが1か月伸びることもあります。

買掛金や経費の支払いは遅く、売掛金の回収は早くできるように日頃から取引先と交渉しておいた方が良いと言えます。

資金繰りに関する最低限の知識を身につける

資金調達と経費支払いのポイントについて説明してきましたが、特に零細企業ではそもそも経営者に資金繰りに関するリテラシーさえあれば回避できていた資金難も少なくありません。

零細企業の経営者が最低限知っておくべきリテラシーについて説明します。

試算表を読むだけではなく、会社の状況を定量的に把握する

まず、帳簿はきちんと経営者も読める必要があります。

零細企業では経理担当者に帳簿は任せていて、試算表だけ何となく読んでいるという経営者も少なくありませんが試算表は結果であって、資金繰りが悪化している原因は個別の理由があります。

例えば、大口取引先に値下げ交渉をされて粗利率が下がっているからかもしれませんし、不良在庫が増えているかもしれません。

ただ試算表を読むだけではなく、定量的に会社の状況を把握できるようにすることが大切です。

資金繰表をつける

資金繰り表を付けることが何より重要です。

前日に資金調達に気づいたのなら行える資金調達方法はほとんどありませんが、2~3か月前に将来資金がショートするかもしれない事に気づいていれば何らかの資金調達方法があるはずです。

未来の資金繰りを予想するためには日頃から資金繰り表をきちんと記録しておくことが一番です。

経理担当者に任せても良いので資金繰りはきちんと可視化しておきましょう。

特に大事なのは経費

ここまで、資金繰り方法、経費、リテラシーの3点からポイントを説明してきましが、重要なのは経費の部分です。

例えば、保険の営業マン兼経営者と経理・総務担当の妻が2人でやっている保険代理店は零細企業ではありますが、経営者が年間2000万円の保険販売手数料を得られる敏腕営業マンならかなり裕福な暮らしができるはずです。

この場合、社員を雇って売上をあげようとしたり、無駄に広いオフィスに引っ越すよりも今の方がこの企業の経営者と妻にとっては幸せと言えます。

零細企業は零細企業だからこそ高収益体質が作れたり、身軽に経営できるメリットがあります。

会社を大きくしたくないという場合、零細企業だからできる経費が少ない身軽な経営を目指すのも良いでしょう。

支払いの優先順位の整理で資金繰りを改善

資金繰りが厳しい状況と言うのは、事業の売上から得る資金と支払いとのタイミングやバランスが崩れてしまっている状態だと言えます。

外部から流入する資金をコントロールすることは難しいものですが、外部に流出する支払いに優先順位を付けることで資金繰りが厳しい状況を脱する糸口を掴むことができることがあります。

優先順位を付けられる支払いとは?

事業運営を行っていると様々な支払いが発生します。事業運営が順調であれば支払いの優先順位を気にすることもなく支払いますが、資金繰りが厳しい状態であれば支払の優先順位を検討すべきです。

振り出した手形や小切手

支払の優先順位が高いものは事業を運営するにあたり、最優先にすべきものは振り出した手形や小切手に対する支払いです。

万一不渡りになってしまうと資金繰りが厳しい状況から脱した後に銀行取引を行うことが難しくなりますので、振り出した手形や小切手への支払いは確実に行うべきです。

社員の人件費

次に優先するべきものは社員の人件費です。在籍歴が長く良好な人間関係を保っている社員であれば資金繰りが厳しい状況を察して協力してくれるケースもありますが、一般的には給与の遅配などが発生すると事業所の求心力や仕事へのモチベーションが失われていまいます。

資金繰りが厳しい状況から脱した後に人手不足で事業運営が立ち行かなくなる可能性もありますから、社員の人件費も優先するべきです。

買掛金に対する支払い

仕入れや外注した取引先への支払いです。事業運営を続ける限り取引を続ける必要がありますから、資金繰りが厳しい状況から脱した後にも取引できるように優先的に支払いを行うべきです。

ただし現金で決済している場合は手形決済への協力を要請するなどの方法があります。

事業所運営のための必要経費

家賃や水道光熱費、通信費など事業を運営するのに必要となる経費です。事務所の立ち退きを迫られると事業を運営することが難しくなりますし、ネット回線の使用が停止したり水道や電気などのライフラインが断たれても事業運営を継続することが現実的ではなくなります。

金融機関への返済などの支払い

銀行に代表される金融機関から融資を受けているケースなどで返済がある場合は、資金繰りが厳しい状況から脱した後にも取引できるように返済を行います。

ただし、金融機関に対する返済は資金繰りが厳しいことを率直に申し出ることでリスケジュールと呼ばれる返済条件の見直しが適用されるケースもあるので、積極的に交渉するべきです。

社会保険料の支払い

社会保険料の支払いは公的機関が相手なだけに支払いの優先順位が高くなりがちですが、督促状を無視せずに納付計画を交渉することで分納が認められます。

督促状を無視していると差し押さえを受けますので、差し押さえが執行される前に交渉するべきです。

法人税などの税金

税金は回収の強制力が強いため滞納をしたからといっても、特別悪質な滞納でない限りすぐに差し押さえなどの強制施行が行われることはありません。

納付を滞納すると延滞税が加算されますが、資金繰りが厳しい状況から脱するためには税金の支払いを遅らせることも必要な場合があります。

上記の理由から資金繰りが厳しい状況に陥った場合の支払いの優先順位は、

振り出した手形や小切手

社員の人件費

買掛金の支払い

事業所運営のための必要経費

金融機関への返済などの支払い

社会保険料の支払い

法人税などの税金の順となります。

資金繰りが厳しくなる前に売掛金のオフバランス化も有効

事業運営に運転資金の調達は非常に重要なファクターだと言えますが、国内には売掛、買掛という商習慣が存在するため資金調達の循環リズムが乱される可能性は少なくありません。

しかし売上に対する売掛金の比率が余りにも大きな場合は。既に紹介したように売掛債権証券化・売掛債権担保融資・ファクタリングなどのシステムを利用して売掛金のオフバランス化を図るのも資金繰りが厳しくなることを予防する効果があります。

売掛債権を担保に融資を受ける売掛債権担保融資はバランスシート(貸借対照表)に影響を及ぼし総資産利益率を下げてしまいますが、売掛債権を売却・譲渡して行う売掛債権証券化とファクタリングはバランスシートに影響を及ぼさず総資産利益率を改善させる効果があります。

売掛債権をオフバランス化し事業運営をスマート化することは、会計報告書の記載内容が改善され金融機関の与信調査時の会計報告書に対する評価が高くなります。

つまり資金調達が簡単になり資金繰りが厳しいという状況に陥りにくくなるということです。

業種を問わず事業所間の競争が激しくなる現在、業種を問わず事業運営のスマート化が求められています。売掛債権のオフバランス化を行うことで、資金繰りが厳しい状況に陥る可能性が大きく低下すると考えられます。   

資金繰りの改善まとめ

事業を運営していく上で資金調達は永遠のテーマだと言えるでしょう。しかし残念ながら、いくら健全な事業運営を行っていても資金繰りが厳しい状態に陥るリスクが消失することはありません。

まずは資金繰りに余裕を持てるよう事前に対策を講じることが大事です。その上で、資金繰りがどうしても厳しい状況になった場合は、改善する策について優先順位を意識して実行しましょう。

また、売掛債権のオフバランス化を行い、支払いに対する優先順位もしっかり掴んでおくことが厳し環境の中で事業を運営していくためには求められ続けます。

事業を取り巻く諸環境は猫の目のように次々に様変わりしていきますが、資金繰りが厳しい状況を回避するためには常に慎重で的確なかじ取りが求められますので、常に意識して事業運営を行っていきましょう。

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