資金繰りに行き詰まりを感じたら!3つの対処法や改善ポイントを解説

事業を行っていくためには様々な資金が必要となります。この資金を適切に分析・管理する資金繰りは、特に中小企業にとっては重要な意味を持つでしょう。

資金繰りを疎かにしてしまい、既に行き詰まりを感じているという経営者の方も少なからずいらっしゃるかもしれません。

ここでは、資金繰りの行き詰まりを感じた時に試すべき対処法や改善ポイントを解説しています。

資金繰りの重要性を再確認しよう

会社を経営、そして事業を存続していくためには資金繰りは欠かすことの出来ないものです。

資金繰りは運転資金と設備資金に分けられ、短期的~中期的な資産の需給を明らかにする事が目的です。

非常に重要なポイントですが、中小企業の中には資金繰りについて良く理解していない経営者が多いのも事実です。

この資金繰りをしっかりとやっていないと、将来的に行き詰まり自社の経営が立ち行かなくなってしまう事も十分考えられます。

ここでは、資金繰りの行き詰まりを感じる前に重要な点を再確認してみましょう。

・「勘定足りて銭足らず」とは?

帳簿上では利益が出ているにもかかわらず、資金繰りに行き詰ってしまい最終的には倒産に追い込まれてしまう企業が一定数存在します。

このような企業を「黒字倒産」や「勘定足りて銭足らず」などと表現したりもしますが、何故利益が出ている状況で倒産するのでしょうか。

一般的に、企業間の商取引では売掛金や買掛金などの掛取引が用いられます。現金で取引を行っている企業も存在しますが、どちらかと言えばそのような企業は少数派ではないでしょうか。

掛取引では資金が入金されるのは1か月~3か月先というのが一般的ですから、帳簿上と実際の資金の収支にはどうしてもズレが生じてしまいます。

この事を念頭に資金繰りに気を配っておかなければ、利益が出ているのに資金が行き詰る状況に陥る「黒字倒産」や「勘定足りて銭足らず」に陥ってしまうのです。

・中小企業は「黒字倒産」のリスクが高い?

自社で取り扱っている製品やサービスが急激に売れ始めても、事業が軌道に乗ったと安心するのは早いのではないでしょうか。

マーケティング会社の東京商工リサーチが発表した2017年度のデータを元にすると、倒産した中小企業348社の内約半数が黒字倒産でした。

東京商工リサーチに3期分の財務情報がある企業を基にしたデータではありますが、これだけでも中小企業の黒字倒産のリスクは非常に高いと言う事が分かるはずです。

問題点がすべて資金繰りにあると結論付けるのは早計かもしれません。

しかし、しっかりとした資金繰りを念頭に置いておく事は安定した経営を行っていく上で重要だというのは間違いないのです。

>2017年「倒産企業の財務データ分析調査」

資金繰りの状況によっては金策も有効?

資金繰りに行き詰まりを感じた企業が真っ先に検討するのは金策、つまり何らかの資金調達ではないでしょうか。

銀行をはじめ、今現在企業の資金調達としては様々な手段があります。例え既に赤字経営や過去の信用情報がブラックだったとしても借入の可能性が高い資金調達方法は多くあるのです。

しかし、すぐにでも資金調達を行わなければ倒産してしまうという切羽詰った状況を除くと、安易に金策に走るのは少々危険ではないでしょうか。

資金繰りに行き詰ってすぐに資金調達を考えるのではなく、まずは適切な対処法や改善策を行ってみるのが良いと言えます。

資金繰りに行き詰った時の3つの対処法とは?

資金繰りに行き詰った場合の対処法は下記の3つの流れが基本的なものとなります。

対処法は資金繰り行き詰まりの原因にもよりますから、まずは収支や経営状態の分析を行う事が重要です。原因を見つけたら、下記を例として適切に対処を行っていきましょう。

① 銀行の借入や公的機関を利用する

一般的にノンバンク系よりも銀行や公的融資の方が低い利率で運営されており、会社の信用という点で考えてもメリットは明らかに大きいものです。

通常の融資であれば審査は難しくなりますが、例えば銀行ではセーフティネット貸し付けというものを実施しています。

セーフティネット貸し付けは実質的な公的融資であり、銀行が窓口となって取り扱っているものです。

取引先の倒産などが原因で危機に瀕している企業のための救済措置ですから、通常の融資よりも利用しやすくなっています。

また、商工会議所に加入している場合は経営再建資金融資を受ける事も可能です。

これら公的融資などが利用出来ない場合でも、個人的な借り入れや出資のあてを探してなるべくなら返済に無理のない融資を選択したいものです。

>「日本政策金融公庫 セーフティネット貸し付け 」

② 資金繰りを見直す

資金調達が無事完了出来たら、次は自社の資金繰りを改めて見直しましょう。

例え資金調達が行えたとしても、このまま事業を継続していればまた資金が不足してしまうような事態になる可能性があります。

しっかりとした資金繰り表を作成するとともに、無駄な経費がないかチェックします。また、既に使用していない機械や資産を処分する事も重要です。

資金繰り自体の改善方法については下記で更に詳しくご紹介していますので、合わせてチェックして下さい。

③ 事業の見直しや金融機関との付き合い方を再検討する

売上が急激に伸びていても、資金繰りが一向に改善しないのなら事業を見直す必要性も出てくるでしょう。

収支のズレを改善する事が出来ればまだ何とかなるでしょうが、例え黒字経営であっても資金繰りが改善しないのなら常に倒産の危険性があるのです。

また、ある程度の時間はかかってしまいますが金融機関との付き合い方を改めて再検討する事も重要です。

取引先などからの信用を気にして、融資を受ける際に大手の金融機関を選んでいないでしょうか。

中小企業であれば、大手の銀行よりも地方銀行や信用金庫を利用した方が良いという事もあります。資金繰りが原因で何度も資金調達をしてしまわないよう、客観的に自社の状況を分析する事が必要なのです。

根本的に資金繰りを改善しよう

上記でご説明した資金繰りの見直しの内、資金繰りを根本的に改善するためには様々な方法があります。

資金繰り改善のためにはその中でも特に「売掛金と買掛金の回収、支払い期日の見直し」「返済計画の見直し、リスケの可能性」という2つのポイントが重要になってきます。

・売掛金と買掛金の回収、支払い期日の見直し

売掛金や買掛金の期日を見直し、変更する事は資金繰り改善の最も基本的なポイントです。

資金繰りの観点から見ると資金が手元に足りていないという事になりますから、売掛金は回収期日を早めます。

その逆に、買掛金の支払い期日は従来よりも長くします。このようにする事で、手元に資金が足りないという状況は回避する事が出来るでしょう。

ただし、どちらにしても取引先との関係が重要になってくるのは間違いありません。 取引先からの信用低下のみならず、急に期日を変更する事は取引先の資金繰りをも厳しくしてしまう可能性がある事を理解しておく必要性があるのです。

・返済計画の見直し、リスケの可能性

既に借入金がある企業であれば、資金繰り改善という観点で返済計画を見直すのも有効でしょう。

今現在返済している金額が本当に適切か、それが原因で資金が不足していないか分析する事が必要です。

また、どうしても返済計画が困難となってしまった場合はリスケ(リスケジュール)を検討しましょう。

リスケには経営改善計画書などが必要となりますが、将来的に自社がどのような経営状態を回復するのが説得力ある言葉で説明出来れば必ず審査に通過する事が出来るはずです。

【まとめ】資金繰りの行き詰まりを感じたら

いかがだったでしょうか。特に製品やサービスを販売する企業にとって、資金繰りは欠かすことの出来ないものです。

既に資金繰りに行き詰まりを感じている・または将来的に黒字倒産の危険性を考えているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、余程危機的な状況ではない限り、適切な対処法をとる事で資金繰りは十分改善可能です。

今回ご紹介した内容を参考に、是非自社の資金繰りについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。