小規模企業共済の特徴やメリット、加入方法とは?フリーランスや個人事業主の味方!

小規模企業共済の特徴起業志向の高まりからか、サラリーマンとして就職するよりも個人事業主やフリーランスとして活動することを希望する方が増加する傾向にあります。

しかし実際に個人事業主やフリーランスとして独立・起業を行うと休業補償もなく退職金も出ないのが現実で、自分の面倒を自分で見ることが求められます。

そんな個人事業者やフリーランスの力強い味方として注目を集めるのが「中小企業共済」です。

退職=廃業を意味する中小・零細企業や個人事業主に退職金を提供することをコンセプトに運営されています。

起業志向の高い方必見の小規模企業共済の加入方法やメリットを紹介します。

個人経営者にも退職金を!を掲げ運営されている小規模企業共済とは?

小規模企業共済は、「小規模企業共済法」に基づき独立行政法人中小企業基盤整備機構(通称:中小機構)よって提供される小規模企業の経営者や会社役員を対象とする共済制度で約130万人の会員数を誇ります。

サラリーマンと比較すると経済基盤が不安定な経営者や個人事業主が加盟し、毎月一定の掛け金を積立てておけば廃業や会社経営から撤退する際にサラリーマンの退職金に相当する共済金を受け取ることができます。

雇用保険に加入できないフリーランスや個人事業主は、万が一事業運営に失敗しても失業保険の給付を受けられません。

小規模企業共済の会員は年齢に関係なく廃業や引退時に共済金を受け取れるので、転職までの生活費を確保することができます。

掛け金に応じて事業資金の融資も実施していることから資金調達手段の選択肢が広がり、運営する会社の企業生命を左右する局面で有効活用できるのも、経営者にとっては嬉しい特典ではないでしょうか。

また、フリーランスや個人事業主の加入する国民年金はサラリーマンの加入する厚生年金よりも受給額が低い傾向あり、老後資金に不安を感じる方もいるでしょう。

小規模企業共済の利用で不足が予想される老後資金の埋め合わせが期待できます。

小規模企業共済の掛け金は月額1,000~から70,000円までの範囲に設定されています。

拈出できる予算に合わせて500円単位で自由に設定することができます。

小規模企業共済への加入後も掛け金は増減可能なので、無理のない金額で将来のための積立を行うことができます。

次に魅力的な共済制度である小規模企業共済への加入資格を紹介します。

小規模企業共済の加入資格はどのような業種や役職が該当するのか?

小規模企業共済は企業ではなく加入希望者が個人で加入する制度として運営されているため、加入希望者自身の給与所得の中から掛け金を支払う必要があります。

また次に紹介する加入資格に該当する場合でも、サラリーマンを本業とし副業でフリーランスや個人事業主として活動しているケースなどは加入することができません。

小規模企業共済への加入資格は業種別・役職別に分けられる!

小規模企業共済への加入資格は業種や事業規模によって異なります。小規模企業共済への加入資格を持つのは次に挙げる条件に該当する方です。

個人事業主・役員・共同経営者に加入資格がある業種

常時使用する従業員20人以下の建設業、製造業、運輸業、宿泊業、娯楽業、不動産業、農業法人などや常時使用する従業員5人以下の卸売業、小売業、サービス業の経営者・役員・共同経営者は小規模企業共済への加入が可能です。

役員に加入資格がある業種

常時使用する従業員20人以下の企業組合、協業組合、農業組合法人の役員は小規模企業共済への加入が可能です。

社員に加入資格がある業種

常時使用する従業員5人以下の弁護士法人、税理士法人の社員は小規模企業共済への加入が可能です。

仮に従業員と共に一般業務に当たっている場合でも、経営者や役員は「常時使用する従業員」には該当しません。

また非正規雇用の契約社員やパート・アルバイトの場合は、個別の勤務状況を労働基準法20条の規定に従った形で判断したうえで「常時使用する従業員」の人数をカウントします。

また役員は株式会社と有限会社の取締役と監査役、合名会社・合資会社・合同会社の業務執行社員が該当し小規模企業共済への加入資格を有すると判断されます。

共同経営者は「業務執行上の決定権」・「資金面での負担」・「業務執行の対価としての報酬を受けている」などの条件をクリアすることで小規模企業共済への加入資格を有すると判断されます。

小規模企業共済への加入資格がない方も存在する?

既述したサラリーマンの本業以外に副業でフリーランスや個人事業主として活動している方の場合、副業の事業規模が小規模企業共済への加入資格に合致している場合でも小規模企業共済への加入はできません。

それ以外でも次に投げる方は残念ながら小規模企業共済への加入ができません。

  • 共同経営者の条件を満たさない事業専従者の配偶者など
  • 生命保険外務員など
  • 協同組合、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、社団法人、財団法人、NPO法人など直接営利を目的としない法人の役員など
  • 中小企業退職金、建設業退職金、清酒製造業退職金、林業退職金などの中小機構の他の共済制度の会員など
  • 商業登記簿謄本に役員登記が行われていないみなし役員など
  • 全日制高校性など

フリーランスや個人事業主の共済制度である小規模企業共済は、かなり厳格な加入条件が設定されていると感じるかもしれません。

入会資格が厳しい理由は次に紹介するメリットが小規模企業共済にはあるからだと考えられます。

小規模企業共済へ加入で発生するメリットや加入方法とは?

共済制度でありながら小規模企業共済が入会資格を厳しく制限する利用として、小規模企業共済には次に挙げる3つの大きなメリットがあることが考えられます。

メリット1:長期積み立ては高利回りで共済金を受け取ることができる!

積み立てを長期間行うことで、積立金が1.2~1.5倍に膨らんだ共済金を受けることも可能です。

銀行がゼロ金利の現在、小規模企業共済の共済金は破格の高利回りでメリットが大きいと言えるでしょう。

メリット2:掛け金が全額控除!節税効果が高い!

既に紹介したように小規模企業共済の掛け金は、月額最大70,000円までに制限されています。

最大額の掛け金の年額は84万円になりますが、積立金は全額年間の課税所得から控除できるのがメリットです。

仮に年収600万円・所得税率20%・住民税率10%の条件である場合、控除がない場合は年間180万円の納税を求められますが、84万円の控除を行えば納税額は154万8千円となり25万2千円の節税を実現できるメリットがあります。

メリット3:事業資金の融資を受けることができる!

小規模企業共済は10万円~2,000万円の範囲内で、一般貸付制度・金融経営安定貸付・事業承継貸付など様々な融資制度を利用できるのもメリットです。

金利も0.9~1.5%の低金利で利用できることからフリーランスや個人事業主の悩みの種である資金調達もサポートします。

小規模企業共済への加入方法とは?

加入資格が限られている小規模企業共済への加入は、加入希望者が加入資格を有することを証明できる確定申告書・開業届け・法人登記書などが必要となり、また加入方法は窓口での手続きのみとなります。

小規模企業共済の窓口業務を委託されているのは商工会・商工会議所・中小企業団体中央会・事業協同組合・青色申告会・損保ジャパン日本興亜株式会社・アクサ生命保険株式会社の7団体で、銀行や信用金庫・信用組合などの金融機関が代理店業務を行っています。

加入手続きには対応していませんが、中小機構の公式サイトで資料請求すれば郵送で対応してくれますので、小規模企業共済への加入を検討し具体的な加入方法を知りたい方は公式サイトから資料請求することをおすすめします。

最後に

フリーランスや個人事業主は自由にビジネスを行える半面、生活や将来を保証してくれるものが存在しないという側面も持ちます。

しかし小規模企業共済の存在はフリーランスや個人事業主にとって心強い存在ですから、これから起業を考えている方や起業したばかりの方には是非とも加入してほしいシステムだと考えられます。