資金調達ガイド

運転資金の回転期間に基づくの計算方法とは?企業経営者、経営担当者に必須の知識

事業を運営するにあたって最も注意しなければならないのが運転資金です。運転資金は血液のように例えられる事があります。すなわちきちんとビジネスの中で運転資金が循環している状態が健康な状態で、在庫や売掛金としてどこかに滞留していると不健康な状態という事になります。このような資金の滞留を見つけて改善を行う事が経営者や経理担当者の重大な役割の1つです。本記事ではそのような運転資金についての回転期間の指標と計算方法について説明します。

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経常運転資金について

まずは運転資金全体の回転期間に関する指標について説明します。運転資金とは広い意味では会社を運営するにあたって必要な設備資金以外の資金の事を指しますが、会計的には「売上債権+棚卸資産-買入債務」という計算式で求める事ができ、この値を経常運転資金と言います。

売上債権とは売掛金や受取手形のように将来的に入金されるだろう債権の事を指します。棚卸資産とは在庫として現在会社の中に滞留している資金の事を指します。買入債務とは買掛金や支払手形のように将来的に出金されるだろう債務の事を指します。

この3つを合わせた経常運転資金は商売上の裏付けがあると言われます。すなわち経常運転資金は受取手形や買掛金など具体的に商売上どのような用途で使われるのかはっきりわかる資金だということです。このように商売上裏付けがきちんとあるということで、銀行からも融資が受けやすい資金だと言えます。銀行の立場からすれば、いざ融資先の企業が倒産してしまっても売掛金や受取手形、棚卸資産は現金化する事が可能なので、債権を回収できるであろうという裏付けがあるため融資がしやすいのです。

このように銀行からの融資を引き出したいとい場合は、経常運転資金をベースに交渉する事が比較的容易ですので、まずは自社にどの位の経常運転資金が必要なのかという事をきちんと把握しておく必要があります。

回転期間から求める経常運転資金の算出方法

では、この経常運転資金はどのように算出すれば良いのでしょうか。単純に「売上債権+棚卸資産-買入債務」だと説明されても、会社の資金は常に移動しているので、そのタイミング毎に必要な運転資金にバラつきがでてしまいます。

経常運転資金の算出方法は在高方式と回転期間方式という2つの方法に分類することができますが、このようなバラつきに対して時間の概念を導入して、フラットに運転資金を算出できるのが、回転期間方式です。ここでは回転期間方式での経常運転資金の算出方法について説明します。

ここでは、売上2000万円、売上債権200万円、棚卸資産400万円、買入債務250万円の会社を例に必要な経常運転資金を算出してみます。まず、回転期間方式では、運転資金を算出するために売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、買入債務回転期間という3つの指標を算出します。

<売上債権回転期間>

売上債権回転期間とは商品を販売してから何日で現金を回収できているのかという期間の事を指します。

算出方法は「売上債権÷1日あたりの売上」です。

売上債権200万円に対して年間の売上が2000万円の場合は

売上債権回転期間=200万円÷(2000万円÷365日)=36.5日

となり、36,5日が売掛債権回転期間となります。

<棚卸資産回転期間>

棚卸資産回転期間とは商品を仕入れてから販売するまで何日かかっているかという期間の事を指します。

算出方法は「棚卸資産÷1日あたりの売上」です。

棚卸資産400万円に対して年間の売上が2000万円の場合は

棚卸資産回転期間=400万円÷(2000万円÷365日)=73.0日

となり、73.0日が棚卸資産回転期間となります。

<買入債務回転期間>

買入債務とは商品を仕入れから代金の支払いまでにかかっている期間の事を指します。

算出方法は「買入債務÷1日あたりの売上」です。

買入債務が250万円に対して年間の売上が2000万円の場合は

買入債務回転期間=250万円÷(2000万円÷365日)=45.6日

となり、45.6日が買入債務回転期間となります。

<運転資金回転期間から経常運転資金を算出する>

上記で計算した3つの回転期間を「売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間」という風に組み合わせると運転資金回転期間という指標になります。

上記の例では、

36.5日+73.0日-45.6日=63.9日

となり、63.9日が運転資金回転期間となります。

そして、「1日当たりの売上×運転資金回転期間」を計算すれば必要な運転資金が分かります。

上記の例では、

(2000万円÷365日)×63.9日=350.1万円

となり、350.1万円が必要な経常運転資金という事になります。

まとめると以下の式で経常運転資金を算出する事ができます。

経常運転資金=1日当たり平均売上×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間)

様々なパターンの運転資金を算出する

以上のように回転期間方式に基づく経常運転資金の計算方法について説明しましたが、この計算方法は銀行との交渉で運転資金の算出根拠を示す時には非常に有効な手法です。

もちろん、経常運転資金を計算する事も大切ですが、一度事業が始まり追加の運転資金が必要となった場合には、なぜ追加の運転資金が必要なのか、どの位必要なのかについて説明する必要があります。また、単なる赤字によって資金が必要な場合は説明しやすいのですが、一方で事業が拡大してより運転資金が必要になった場合や、取引先との決済条件が変更になった事によって追加の運転資金が必要になった場合は説明に困るケースもあるのではないでしょうか。その際には経常運転資金の算出方法を少し工夫すれば良いのです。

例えば、事業が拡大すればそれだけ運転資金が多く必要となりますが、売上の増加に伴ってどの位の運転資金が必要となるのかについては以下の式で算出する事が可能です。

増加運転資金=1日当たり売上増加金額×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間)

また、他にも取引先との決済で、買掛金の支払いサイクルが短くなったり、売掛金の回収サイクルが長くなった場合にも余分に資金が必要となります。この時にどの位の余分な運転資金が必要になるのかについては

増加運転資金=1日当たり平均売上×(売上債権回転期間延長分+棚卸資産回転期間延長分-買入債務回転期間延長分)

という式で算出する事ができます。このように回転期間方式による経常運転資金の算出方法を使いこなして、どの位の資金が必要なのか根拠を持った交渉を行ってください。

運転資金の回転期間に基づくの計算方法まとめ

以上のように回転期間方式に基づいた運転資金の算出方法について説明してきました。この方法で運転資金を管理するメリットは2つあります。1つは会社の経営に必要な運転資金を知る事は経営者や経理担当者が資金繰りをコントロールするために役立つ事、もう1つは銀行と融資交渉を行う上でも根拠に基づいた融資交渉が行えるようになるということです。

前者について運転資金は会社の血液だと言われている様に、運転資金を循環させて収益を生み出す事が重要なのですが、時として資金は滞留します。ある時は在庫として倉庫に眠っているかもしれませんし、ある時は回収できない売掛金として残っているかもしれません。平均的な数値と比較する事によって自社のどのような部分で資金が滞留しているかという事を突き止める事ができます。このような理由から回転期間というのは非常に重要な指標となります。

後者について経常運転資金は商売上の裏付けがある資金なので銀行側も融資しやすい資金需要ではありますが、なぜどの位必要なのかについては根拠を持って説明する必要があり、その根拠としてこの計算方法は有力です。

 

 

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