資金調達ガイド

10分でわかる!日本政策金融公庫完全ガイド

 

銀行からの融資を受けるのは多くの企業が行う資金調達ですが、その中でも創業時や零細企業がよく利用するのが日本政策金融公庫の融資制度です。日本政策金融公庫は通常の銀行とは異なり、政府が100%出資している公的な金融機関で、一般的な銀行とは少し毛色が違います。本記事は日本政策金融公庫完全ガイドと題して10分程度で日本政策金融公庫とはどのような金融機関なのかを理解していただく事を目的としています。

日本政策金融公庫は他の銀行とどう違うのか

メガバンクや地方銀行は株式会社として経営されている営利法人なので、利益を追求しなければなりません。信用金庫は形式的には信用金庫法に基づく地域の繁栄を図る相互扶助を目的として共同組織という事で株式会社よりも公益性の強い法人だと言えますが、それでも存続の為に利益を出すような融資を行う事が求められており、リスクの高い企業に対して融資を行う事はありませんし、融資を行う場合も信用保証協会や担保などをつけてリスクヘッジを行います。

日本政策金融公庫は株式会社として組織されていますが、株式は100%国家が保有している公的な銀行で、国策に基づいて通常の銀行が融資を渋るような融資先に対しても、国策に応じて積極的に融資を行う事が大きな特徴です。このような融資に関するスタンスから銀行の中でも独特の銀行だと言えます。

日本政策金融公庫の3つの事業領域

日本政策金融公庫の業務は事業部毎に分かれていて、対象毎に事業を「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」の3種類に分類しています。国民生活事業とは一般国民向けの融資業務で小口の事業資金の融資や創業・地域活性化の支援、教育ローンによる支援などを行っています。農林水産事業では、農林水産業者向けの融資や、食品産業向けの融資、コンサウティングやビジネスマッチング等の経営支援サービスを行っています。中小企業事業では中小企業の長期事業資金の融資や、海外展開支援・再生支援などを行っています。

日本政策金融公庫を利用する際に便利なのは国民生活事業で、通常の銀行から融資を受けにくい零細企業にとって日本政策金融公庫の小口の事業資金の融資はありがたい融資制度だと言えます。では、この他にどのような領域の融資に強みを持っているのかについて以下で説明します。

日本政策金融公庫が強い融資の領域

日本政策金融公庫が他の銀行と比較して強い融資領域として挙げられるのが、創業関連の融資です。通常の銀行の場合、創業資金の融資はリスクが高いので、信用保証協会の保証や担保がなければ融資を行う事はほとんどありません。

しかし、日本政策金融公庫は創業者に対する融資を積極的に行っています。日本政策金融公庫の創業融資を獲得できる確率は50%前後だと言われていますが、獲得できていない50%の中には明らかに準備不足な創業計画の申し込みも含まれるので、きちんと創業計画を作成すれば比較的審査を通過しやすい融資だと言えます。

創業融資制度の種類も充実しており、オーソドックスな創業融資である「新創業融資制度」や、若者、女性、シニアの創業などに特化した「女性、若者/シニア起業家支援資金」、廃業経験等がある経営者が最後事業を行う際に利用できる「再挑戦支援資金」など様々な創業に関する融資制度を保有しています。

国策・社会問題の解決に則った融資制度

創業関連の融資に強みを持っているだけではなく、国策や社会問題の解決に則った融資制度が用意されているのも大きな特徴です。例えば、震災によって事業が大きく毀損した企業は融資を受けようにも利益を出すのが困難なのでなかなか融資を受けられなくなってしまいますが、日本政策金融公庫では「災害復旧貸付」、「東日本大震災復興特別貸付」「平成28年熊本地震特別貸付」など災害に特化した融資を行っています。他にも、社会的問題を解決するための事業を行う企業には「ソーシャルビジネス支援資金」という融資制度が用意されており、訪日外国人の消費需要を取り組もうとしている企業に対しては「観光産業等生産性向上資金」、新電力や省エネ設備の導入の際に利用できる「環境・エネルギー対策資金」など国策に沿った融資制度が充実しているのも日本政策金融公庫の特徴です。

他の銀行とどの様に使い分ければ良いのか

では、他の銀行とどのように使い分ければ良いのでしょうか。まず、日本政策金融公庫は日本の零細、中小企業の融資に特化した金融機関などで大企業は融資を受ける事ができません。その上で、①事業規模や財務状況などの企業の能力、②合致する融資制度があるか否かという2つの視点で、一般の銀行を使うか、日本政策金融公庫を使うかを検討します。

①事業規模や財務状況などの企業の能力

基本的な使い分けの方針としては、利率で比較する事になりますが、政策金利がマイナスとなっており、それに連動して銀行の貸付金利も低くなっています。また貸付金利が低い事から、1件の貸し倒れが全体に大きな影響を与えるので、事業規模や財務状況、返済実績の十分な企業は借り入れを容易に行えて、十分でない企業は借り入れを行うのが困難という風に企業によって融資を受ける難易度が二極化しています。よって、融資を受けやすい側の企業は銀行からプロパーの融資を受けた方が良いし、融資を受けにくい側は日本政策金融公庫の融資を狙った方が良いと言えます。

②合致する融資制度があるか否か

また、日本政策金融公庫は国策に沿って様々な融資制度を定めていますので、自社の借り入れの目的と合致した融資制度がある場合、有利な条件で借り入れを行える可能性があります。このような理由から日本政策金融公庫の融資制度をきちんと調べた上で、合致する融資制度に申し込んだ方が良いでしょう。

民間の銀行からの借り換えはできない

ひとつ日本政策金融公庫を使用する際の注意点があるとすれば、民間の銀行から日本政策金融公庫への借り換えはできないという事です。融資を受けにくい企業にとっては、日本政策金融公庫の融資は、担保や保証人を求められない商品が多く、利子も銀行からの調達よりも安く、返済期間も長いので一般の銀行と比較して破格の条件で資金調達ができていると言えます。このような条件の良さから、銀行からの借り入れを日本政策金融公庫に一本化したいと思うかもしれませんが、これはできません。

日本政策金融公庫は国の金融機関なので、借り換えが行えるようになれば民業を圧迫してしまいます。このような理由から日本政策金融公庫への借り換えはできずに追加融資や新規融資を申し込むしかありません。

最期に

以上にように、完全ガイドと題して日本政策金融公庫が通常の銀行とどのように違うのかを説明してきました。日本政策金融公庫は創業関連の融資に強みを持っており、創業間もない企業や零細企業など通常銀行が融資を渋る企業にとっては、とても良い条件で資金調達が可能となります。ただし、民業を圧迫しないという観点から、通常の銀行から日本政策金融公庫への借り換えは行えないという点に注意してください。

資金調達の手段は、銀行融資、ビジネスローン、ベンチャーキャピタルからの投資、ファクタリング、手形割引など様々な手段がありますが結局の所最もコスパが良い手段は銀行からの融資、それも零細企業にとっては日本政策金融公庫からの融資が生命線になっています。中小企業の経営者は日本政策金融公庫を上手に利用する為にきちんとと融資制度を調べて取引をしておいた方が良いでしょう。

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