ファクタリングの手数料相場まとめ

 

ファクタリングの種類

売掛金や受取手形をはじめとする売掛債権の回収業務を、自社で行わずに専門業者へ依頼するファクタリング業務は、何を回収するのかという点が多種多様です。商品の在庫を回収する場合もあれば、家賃収入を回収する場合もありますし、医療報酬を回収するケースもあります。こうした回収業務は、回収先の企業の地理的なロケーションや保証の有無、償還請求権の有無などによっていくつかの種類に分類できます。

一括ファクタリング

一般的な回収業務と呼ばれているのが、この一括タイプです。回収するのは主に企業の売掛金や手形などが対象となります。他社から受け取った売掛金や手形を期日前に現金化できるというメリットがあるほか、不渡りや企業倒産による支払いリスクを回避できるというメリットがあり、手数料がそれなりにかかってしまうものの、よく利用されています。近年においては経済産業省が積極的に周知するなど、幅広い業界や機関、企業に利用されているサービスです。

商品在庫ファクタリング

アセットマネジメントの一環として利用されることも多いこのタイプは、企業の倉庫にずっと放置されている商材や機材、商品などを買い取ってもらうことによって運転資金を調達するといったメリットが期待できます。買い取ってもらう理由については企業によってケースバイケースですが、過剰に製造しすぎてしまった在庫や多く仕入れすぎた在庫を始め、流行が過ぎてしまった在庫などについても対応してもらえます。

家賃収入ファクタリング

大家さんが抱える悩みの一つに、家賃の滞納をはじめとする金銭的な入居者トラブルがあります。このタイプのサービスを利用することによって、そうした大家さんの悩みをスッキリと解消することが可能です。賃借人が払うべき毎月の家賃を、ファクタリングサービスを提供する企業が家賃債券として支払いを代行してくれる他、収入と支出のバランスについてもプロの視点から適切なアドバイスをくれるサービスもあります。

もちろん、家賃回収業務をサービス業者に依頼したからといって、賃借人が強制的に退去させられるということはないので安心です。アパート経営や賃貸物件を所有している大家さんにとっては、マージンを支払ってでも手に入れたい大きな安心感ではないでしょうか。

医療報酬ファクタリング

このタイプの回収業務は、レセプトと呼ばれる診療報酬債権を利用して行います。回収先が社保や国保のように国の公的機関となるので、倒産リスクという点では極めて低いのが、このタイプのサービスの大きな特徴です。倒産リスクが低いためにコストも他のタイプと比較して低めとなっているため、医療機関にとっては素早く運転資金を調達する手段として広く利用されています。

医療報酬系の回収業務は、大きく分類すると診療報酬、介護報酬、調剤報酬と3つに分けることができます。診療報酬はクリニックや病院などの医療機関、そして歯科クリニックの診療報酬債権が対象となり、介護報酬はケアハウスやデイケアサービスを含む介護施設の報酬債権が対象となります。また、調剤報酬においては、調剤薬局が持っている調剤報酬債権が対象となります。医療報酬ファクタリングを行うサービス業者の多くは、これらすべての債権に対応しています。

国際ファクタリング

売掛金や手形の発行先が日本国内ではなく海外に存在する場合には、このタイプが適用となります。グローバル化が進む近年においては、取引先が海外にあるという企業は増えていて、そのため国際ファクタリングのサービスも急成長しています。国内の一般的な契約では、2社間によるものが多いのですが、国際的な契約となると、契約にかかわる企業が3社間、4社間と多くなるため、それぞれの企業に対する信用調査が必要になるなど、手続きが複雑化されます。そのため、コストという点では他のタイプと比べて割高となりますが、利用する企業にとっては素早く運転資金を調達できるという大きなメリットが期待できます。

ファクタリングの手数料とは

このサービスの利用にかかる手数料は、ケースバイケースで1%~40%と幅広く設定されています。同じサービスでも業者によってかかる費用は異なりますし、その取引が2社間なのか3社間なのか、また企業の信用力の高さなどによっても異なります。サービス業者から請求される料金は、大きく分類すると基本的なものに加え、事務的な経費や登記費用などがあります。

基本的な手数料

基本的な手数料は、売掛債権の金額から業者が買い取ってくれる金額の差額なので、計算する方法は難しくありません。回収業務を行ってくれるサービス業者にとっては、債券を買い取るということは、未回収のリスクを背負うということになり、かかるコストはそのリスクに対する対価と考えると良いでしょう。

このコストは、サービス業者の収益となる利益分と、リスク対価と大きく分類することができます。このうち、業者の収益というのはサービス業者が運営するために必要な収入源になる部分です。リスクの対価というのは、売掛金が未回収になるリスクや回収した売掛金が流用されるリスク、また持ち逃げされるリスクなど様々なリスクを審査したうえで決定されるコストということになります。このリスク対価に関しては、リスクが大きいと判断された場合には料金が高くなり、信用度が高いと判断されると低くなりますし、何回もリピートして利用することによって信用度がアップしてコストが安くなるということもあります。

ファクタリング業者の事務的な経費等

業者によっては、基本的なコストとは別に、事務的な作業に関してかかった経費を別途で請求されることがあります。例えば、遠方にある企業まで回収のために出張してもらったりすると、出張費が経費として請求されます。これは実費のみを請求というわけではなく、サービス業者によってはよく分からない不透明な項目や金額での請求となることが少なくありません。もしも理解できない請求や不透明な請求がある場合には、納得できる説明を求めても問題ありません。

登記費用

このサービスを利用する際には、2重譲渡のリスクを回避する目的で債権譲渡の登記を契約条件とする事が少なくありません。登記費用というのは、その際にかかる費用ということになり、サービスを利用する企業側に支払い義務があります。具体的な費用の内訳としては、主に司法書士に対する報酬や登録免許税などがあり、債権の金額にかかわらず、登記費用の請求は5万円~10万円程度が相場となります。

サービスの利用において債権譲渡登記は義務ではありません。しかし、この手数料を支払ってでも債権譲渡登記を契約条件に入れることによって、サービス業者側には二重譲渡を回避できるというメリットがありますし、利用する企業側にとってはリスクを軽減することでコストを低く抑えることができたり、審査落ちのリスクを軽減できるというメリットが期待できます。

ファクタリングの手数料を決める要因

ファクタリングのサービスを利用する際にかかるコストは、ケースバイケースです。取引先の信用度や何社が関わっているのかなどの要因によって、かかる手数料の目安は1%~40%となります。具体的にどんな要因が金額を決定する際には大きく影響しているのでしょうか?

売掛先の信用力

回収業者にとっては、売掛金や手形などの債権を買い取るということは、未回収のリスクも合わせて引き取るということになります。そのため、売掛先の企業の信用度は、リスクに大きな影響を及ぼしますし、それがマージンの金額を決める大きな要因となります。例えば、企業として信用度が高く安定した経営を行う大企業なら、未回収のリスクを最小限に抑えることができるため、コストは低くなるでしょう。しかし一方で、企業としての経営状態が不透明だったり、信用度の点でイマイチという売掛先になると、サービス業者にとってはハイリスクの債権を抱えることになるため、かかる依頼料は高くなってしまいます。

2社間か3社間、どちらを利用するか

2社間タイプを利用するか、3社間タイプを利用するかによっても、サービス業者が抱えるリスクは異なりますし、それが依頼料にも影響します。

2社間ファクタリング

2社間で行う場合には、もしも売掛先の企業が倒産するなどして債権が未回収となった場合、サービス提供業者がすべてリスクを一人で負うことになります。つまり、ハイリスクです。そのため、割合的には平均すると10%~20%程度が多く、3社間でファクタリングを行うよりも高めとなります。

また、それとは別に2社間タイプの場合には債権譲渡登記を契約条件に課するところが多いため、その部分にも5万円~10万円程度の登記料が発生します。少額の債権だと、こうした手数料が大きな割合を占めてしまうことが多いため、最終的にどのぐらいの資金を調達できるのかという部分は、しっかり計算した上で利用するかどうかを決めたいものです。

3社間ファクタリング

3社間タイプでは、売掛先とサービス提供業者、そしてそれを利用する企業の3社間で債権譲渡契約を行うという方法です。2社間で行う場合と比べると、万が一の貸倒れリスクをサービス業者が1社だけで負担する必要がないため、リスクを低く抑えることができます。それは依頼料にも反映されていて、3社間契約の場合にかかる目安は、2社間で行う場合よりも低めの1%~9%程度が目安となります。

初めてのファクタリングか、2回目以降か

このサービスの利用には、基本的には保証金や担保は必要ありません。つまり、利用する企業、そして売掛企業の信用度が大きく関係するサービスです。売掛先の企業が持つ信用度も大切ですが、このサービスを利用する債券保有企業の信用度も依頼料を決める大きな要因となります。 例えば、初めてファクタリングサービスを利用する企業よりは、何度も利用している履歴があり、取引先の信用度もある程度把握できている企業の方が、貸し倒れリスクは低くなります。そのため、初めてサービスを利用する場合よりも2回目以降の方が、かかるコストが低くなるということは珍しくありません。

買取り債権(売掛金)の金額が高いか低いか

売掛金の金額が高ければ、貸し倒れのリスクも高くなってしまいます。一方で、売掛金の金額が低いと貸倒れリスクによるサービス業者の負担分は少なくて済みますが、売掛金を保有しているサービス利用企業にとっては、もろもろの費用が占める割合は高くなるというデメリットがあります。そのため、このサービスを利用する際には、債権を買い取ってもらうことによって最終的にいくらが回収できるのかという点をしっかりと計算した上で、利用するかどうかを決めることが必要です。

手数料以外にかかる費用

かかる費用の目安は、買い取ってもらいたい債権の金額の1%~40%と大きな幅があります。目安としては10%~20%程度と言われていますが、ケースバイケースで審査が行われるため、場合によっては売掛金の約半分近くを支払わなければいけないケースもあります。しかも、その他にも経費や登記にかかる費用があるため、あらかじめそうした部分についてもしっかりと納得できる説明を受けておきたいものです。 具体的にどんな種類のコストがかかるかという点ですが、審査や事務手続きに5,000円程度がかかります。これは、審査を行うことで発生する費用なので、実際に利用するかどうかは別として、申込むと必ずかかる料金ということになります。その他、債権の金額に応じて200円~20万円程度の印紙代がかかりますし、債権譲渡登記が契約条件となっている場合には、司法書士への報酬を含めて5万円~10万円程度がかかります。

2社間、3社間ファクタリングの手数料相場

2社間契約と3社間契約とでは、サービス業者が抱える未回収リスクの大きさが異なるため、かかる料金の相場が異なります。

2社間ファクタリング

2社間契約では、約10%~20%が相場です。しかし中には、良心的に10%以下のコストで対応してくれるサービス業者もあるので要チェックです。業者によって債権の最小金額と最高金額を設定している所があるので、その点も注意しながら業者選びをしましょう。

計算例

例えば、売掛金100万円分を2社間契約で譲渡するという場合に、コストが20%かかるとしましょう。この場合、100万円に対するマージン20%で20万円がかかり、買取り金額は80万円ということになります。しかし、この80万円をそのままうけとれるわけではありません。実際にいくらを受け取ることができるのかについては、掛目がどのぐらいに設定されているかも要チェックです。 掛目というのはリスクに対する対価のことで、掛目が70%だと、買取り金額の80万円の70%が最終的に受け取れる金額ということになります。つまり、100万円の売掛金を買い取ってもらっても、最終的には56万円しか受け取ることができません。

3社間ファクタリング

3社間契約においては、2社間よりも未回収リスクを低く抑えることができるため、かかる金額は低くなります。ケースバイケースですが、目安としては1%~9%程度となります。

計算例

3社間契約でも、計算方法は基本的には同じです。例えば100万円の売掛金をマージン10%で譲渡し、そのサービス業者の掛目が70%だとすると、売掛金からコスト10%を差し引いた買取り金額は90万円となり、そこから掛目分を差し引くため、最終的には63万円を受け取ることができます。

種類別にみるファクタリングの手数料相場

債権は、その種類によって貸倒れリスクが大きく異なります。そのため、かかる費用も債権の種類によって多種多様です。

一括ファクタリング

売掛先の企業が民間企業となることが多いこのタイプは、他と比べて割高です。

2社間ファクタリング

2社間契約では、相場は10%~20%程度が目安ですが、リスクによっては30%~40%程度かかることもあるので注意しましょう。

3社間ファクタリング

3社間契約だと、貸倒れリスクによる負担が低くなるため、かかる費用も2社間契約より低くなり、相場は1%~10%程度となります。

医療ファクタリング

医療債権では、売掛先が国となるため、リスクはとても低いというとくちょうがあります。そのため、マージンも1%~2%程度です。

国際ファクタリング

この場合、契約には3社から4社と複数の企業が関係するため、リスクを軽減できます。その結果、かかる費用は1%~2%程度と低めの相場となります。

保証ファクタリング

売掛金に対する不安がある場合、保証を付けることによって低コストでファクタリングを利用できます。保証付きということでかかる費用低く、2%~15%程度が相場です。

ファクタリングにかかる手数料の消費税の取り扱い

金融取引において手数料は非課税と規定されているため、金額にかかわらず手数料に対する消費税はありません。

ファクタリングの手数料の勘定科目

一般的には売掛債権譲渡損という勘定項目での処理が一般的ですが、会計ソフトによってはそうした項目が設定されていないことがあります。その場合には、雑損失とか支払費用、債券割引料などと分かりやすい項目を選ぶと良いでしょう。